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桜魔皇国17日目【午前】 ページ6

私は、魔の親子の所に来ていた。
久しぶりに会えたのが嬉しかったのか、子の魔は尻尾を振りながら寄り添ってきた。
「久しぶりだな…あはは、ごめんな。逃げてきた形みたいになってな…」
少し休ませてくれと、親の魔の隣に座った。

「…何故、逃げたんだ私は」
あそこまで動揺する事も無かっただろう。
何があそこまで私を焦らせたのだろう。
あの冷たい声の晴さんを見ただけでこんなにもなるとは。
「晴さん…魔なのか?」

しかし魔の気配は全く無かった。
なんなら殺意すらも無かった。
でもあそこまで人格が豹変するなら、説は濃厚になる。
ただ、人格が豹変したとて証拠には薄い。
私しか見ていないし、恐らくあれはコントロールできるだろうから人前にはまず見せないだろう。

私は魔を撫でながらため息をついた。
進展がまるでない。
そもそもどのように運命が変わっているのかすら分からない。
「どう直せば…」
途方にくれていると、ガサっと足音がした。

「誰だ」
「やだな〜、僕だよ」
そう言って現れたのは、晴さんだった。
「晴さん?!何故ここが…」
「うーん、勘かな?」
私は親子の前に出て、刀を構えた。

「なぁ、そなたは何者なんだ?」
「ん〜…そっか『運命を元に戻せ』って言われたかな?」
「え?」
「やっぱり」
「本当に…本当に誰なんだそなたは」
「僕はね、君の姫様に作者の座を落とされたんだよ」

「…まさかそなた、姫様が言っていた」
「そう」
「何故晴さんの中に…」
「僕がこの中に入っているせいで、甲斐田晴の運命が変わっている状態なんだね…何故中にいるかは僕も分からない」

「出ていけ…そなたのせいで…!」
「まぁ待て、戦いに来たんじゃない。話に来たんだ」
「話に?」
「あぁ、話したら出ていくさ」
「…聞こう」

私は警戒したまま、男の話を聞いた。
「僕が、桜魔皇国の物語を自分のものにしようとしていたのは姫様から聞いたね?」
「あぁ」
「それにはね、理由があるんだよ…絶望を回避する為さ」
「そなたの書いた物語の方がよっぽど絶望の物語だったようだが…まぁいいか。何の絶望だ?」

「…お前が魔となり、全てを消してしまう運命だ」
「…は?」
「お前は、神の黒闇天や吉祥天すらも…」
「そうか」
私は言葉をばっさり切った。
それを見た男は、目を丸くした。

「残念だったな、その程度で私は絶望だと思わない」
「何故…」
「己からの伝言があってな」
「…あっそう」
そう言って、男は帰って行った。

「晴さん返せよ!」

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作者名:神里 | 作成日時:2022年3月23日 8時

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