桜魔皇国27日目【深夜】 ページ47
「あっという間だったね…あの子達明日行っちゃうのか」
「加護は決めたか?魎」
「あぁ、下準備も済ませておいた」
「…良いの?刀」
「私が刀を使う理由は、もうどこにも無いからな」
「そっか」
「では各自、夢の中に入ろう。そこで加護を与えよう」
「わかった」
「では…」
目を瞑り、ゆっくり開けると、そこは暗闇だった。
明るく輝く刀だけが頼りだった。
「景さん夢…だよな」
辺りを見回しても、漆黒だった。
どちらがどの方角かなどわかるわけも無かった。
すると、背後から足音が聞こえた。
私は振り返ると、そこには景さんがいた。
辛そうな顔をしていた。
「お前は…」
「夢に出てくるなど、思いもしなかっただろう?」
「なんでここに?」
「…暗いなここ、そなたの心情か」
「質問に答えて欲しいんだけどな」
「あぁ、すまなかった。私がここに来た理由は一つ、加護を与えに来たのだ」
「加護?」
「御守りだと思えばいい、急にだから驚いたか?」
「そりゃ勿論…」
「…そなたたちは、私達と過ごした日々はもう思い出せない。だから私がそなたたちに沢山救われた事を言っても、何も分からないと思う。でも本当なんだ、私はそなたたちに沢山救われた。進むことの素晴らしさ、知ることの素晴らしさ、他にももっと沢山の事を教えてくれたのだ。だから…せめて、私が出来る最大の御礼をしようと思ってな」
私は刀を景さんに差し出した。
景さんは刀を受け取り、呆然とこちらを見ていた。
「本当にありがとう、景さん。晴さんと藤士郎さんにもよろしくお願い致します」
「え?」
「桜月の加護、汝に与えよう」
「ま、待て!」
「神託【不屈】祝福をそなたに、抗う心をそなたに」
刀は淡く光だし、景さんの中に光の粒となって入った。
「…上手くいったな」
「あぁ…」
「景さん、現世でも必ず楽しくやれる。楽しい事が沢山待ってるはずだ。どんなに批判されようとも、どんなに上手くいかなくても、何度でも立ち上がり、抗い続けて欲しい。周りの手助けも十分に借りて、何度でも進んで欲しい」
「…なぁ、お前は?」
「どういう意味だ?」
「あぁいや…名前だよ」
「あぁ名前か…魎だ。魑魅魍魎の魎、頭の片隅に置いとけ」
「そっか、サンキューな、魎」
「…そなたたちの事、応援している」
私はそうして、夢の中から出ていった。
神社に帰ってくると、もう既に二人は帰ってきていた。
「どう?」
「上手くいった、良かった」
「なら安心した!」
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作者名:神里 | 作成日時:2022年3月23日 8時