検索窓
今日:26 hit、昨日:0 hit、合計:14,775 hit

桜魔皇国27日目【深夜】 ページ47

「あっという間だったね…あの子達明日行っちゃうのか」
「加護は決めたか?魎」
「あぁ、下準備も済ませておいた」
「…良いの?刀」
「私が刀を使う理由は、もうどこにも無いからな」
「そっか」

「では各自、夢の中に入ろう。そこで加護を与えよう」
「わかった」
「では…」

目を瞑り、ゆっくり開けると、そこは暗闇だった。
明るく輝く刀だけが頼りだった。
「景さん夢…だよな」
辺りを見回しても、漆黒だった。
どちらがどの方角かなどわかるわけも無かった。

すると、背後から足音が聞こえた。
私は振り返ると、そこには景さんがいた。
辛そうな顔をしていた。
「お前は…」
「夢に出てくるなど、思いもしなかっただろう?」
「なんでここに?」

「…暗いなここ、そなたの心情か」
「質問に答えて欲しいんだけどな」
「あぁ、すまなかった。私がここに来た理由は一つ、加護を与えに来たのだ」
「加護?」
「御守りだと思えばいい、急にだから驚いたか?」
「そりゃ勿論…」

「…そなたたちは、私達と過ごした日々はもう思い出せない。だから私がそなたたちに沢山救われた事を言っても、何も分からないと思う。でも本当なんだ、私はそなたたちに沢山救われた。進むことの素晴らしさ、知ることの素晴らしさ、他にももっと沢山の事を教えてくれたのだ。だから…せめて、私が出来る最大の御礼をしようと思ってな」

私は刀を景さんに差し出した。
景さんは刀を受け取り、呆然とこちらを見ていた。
「本当にありがとう、景さん。晴さんと藤士郎さんにもよろしくお願い致します」
「え?」

「桜月の加護、汝に与えよう」
「ま、待て!」
「神託【不屈】祝福をそなたに、抗う心をそなたに」
刀は淡く光だし、景さんの中に光の粒となって入った。
「…上手くいったな」
「あぁ…」

「景さん、現世でも必ず楽しくやれる。楽しい事が沢山待ってるはずだ。どんなに批判されようとも、どんなに上手くいかなくても、何度でも立ち上がり、抗い続けて欲しい。周りの手助けも十分に借りて、何度でも進んで欲しい」
「…なぁ、お前は?」
「どういう意味だ?」

「あぁいや…名前だよ」
「あぁ名前か…魎だ。魑魅魍魎の魎、頭の片隅に置いとけ」
「そっか、サンキューな、魎」
「…そなたたちの事、応援している」

私はそうして、夢の中から出ていった。
神社に帰ってくると、もう既に二人は帰ってきていた。
「どう?」
「上手くいった、良かった」
「なら安心した!」

桜魔皇国28日目【午前】→←桜魔皇国26日目【朝】



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (33 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
185人がお気に入り
設定タグ:二次創作
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:神里 | 作成日時:2022年3月23日 8時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。