桜魔皇国20日目【夜】 ページ25
夜になり、鳩の案内に3人はついて行く。
鳩の案内する道に、3人は疑問を持っていた。
何せ鳩は、一度山を降りて街中を通り、また街外れの舗装された山道を登り始めたからだ。
「こっち…なんかあったか?」
「ここは…前までちゃんと神様がいた神社があるんだけど、今はもう廃墟なはずだよ」
「とりあえず着いてくしかないけど…」
3人はとりあえず鳩について行く。
道を登りきると、藤士郎の言った通り廃墟の神社があった。
その奥に、華麗に咲き誇る桜の木が一本あった。
そこに魎は佇んでいた。
「…あー!ここ俺知ってる!」
と景は叫んだ。
「うるさ…来たことあるの?」
「魎、ここで魔と戦ってたんだよ。俺も依頼があってここに来た時にさ」
「そうだったんだ…」
「まぁ…とりあえず、行かない?」
と藤士郎が促す。
2人は頷いて、魎の元に歩いた。
3人に気づいた魔は、一切の表情を変える事無く語り出した。
「…本当は、人間なんか滅ぼす気でいたんだ」
「え?」
「本当に人間が憎い。心が醜くい所が本当に嫌いだ…すぐに欺くしわがままだ」
だけどと、魔は言った。
「この身体の持ち主、言ってたんだ。私も人間はそういう心を持った生き物だと思っていた、けど違った。むしろ醜い心の持ち主の方が稀であると」
「魎がそんな事…」
「…だから君たちと話してみたら、本当にそうだった」
「話したって…」
「こっちが一方的に言っただけだね。主役達に会えて良かった」
「なぁ、主役って?」
「教えて貰って無いのか?君たちここの世界の主役だぞ?」
「えぇ?」
「簡単に言ってしまうなよ」
と鳩経由で黒闇天が言った。
「…黒闇天の差し金か、やはり」
「まさか、運命で既に決まっていた」
「黒闇天様、お知り合いですか?」
「…さっさと名乗れ、自分語りをする前に」
「そうだな…自分は『機械仕掛けの神』だ」
「『機械仕掛けの神』って…デウス・エクス・マキナ?」
「晴くん、知ってるの?」
「オタクくん故にね…物語の神様って言われてる」
「異国の神だ、大昔私に良くしてくれた数少ない神だ」
「どうしてこんな所に?」
「『悲劇』がそこにあったからだ」
「悲劇?」
「自分は『悲劇』に良く登場させられるのだ。おかげでデウス・エクス・マキナはその辺の物語に大量にいる。自分もその1人に過ぎない、複数形だ。しかし役割はほとんど同じ、物語の収束こそが存在理由だ」
「まぁつまりはこやつが物語を元に戻してくれる訳だ」
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作者名:神里 | 作成日時:2022年3月23日 8時