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桜魔皇国16日目【夕方】 ページ3

二百年後の藤士郎さんを連れて、二百年後の桜魔皇国に向かった。
社の中には、まだ虚ろな目をした藤士郎が座っていた。
「…藤士郎さん」
と呼ぶと、あれだけ反応が無かったのに、今はこちらを向いた。
目は、まだ虚ろなままだった。

「大丈夫、もう大丈夫だよ…」
「…何が?」
「帰ろう、元の時間軸に」
「…帰ったら、僕に待っているのは孤独でしょ?」
「ううん、孤独は待ってない。劣るかもしれないけどあたし達がいるから、遊びに来てよ」
「…そっか」

「…魎」
吉祥天は、藤士郎さんに寄り添ったまま、私に言った。
「晴くんのことお願いしていいかな」
「どういう意味だ?」
「元に戻すなら一度の方が良いわ。晴くんの運命は元に戻っていないから、直してきてほしいの」

「晴さんの正しい運命とはなんだ?」
「それは全て、これに書いてあるよ」
そう言って吉祥天は、文を渡してきた。
私はそれを受け取って頷いた。
「分かった。任せて欲しい」
「頼んだよ、さぁ行ってらっしゃい」

吉祥天が開けた空間に飛び込む。
そしてまた交差点に来る。
とりあえず元の時間軸の桜魔皇国に帰る。
桜魔皇国は夕暮れ時だった。
文を開こうとすると、黒闇天に声をかけられた。

「旅人、次の運命か?」
「黒闇天…あぁ、その通りだ」
「甲斐田晴のか」
「…どうしたのだ」
「これをやろう、それから行くのは明日の方が良い」
そう言って黒闇天は、1枚の札をくれた。

「この札は?」
「いざとなったら使え、護符だ」
「…晴さんは、何者なんだ?」
「甲斐田晴に関しては、正直曖昧だ。恐らくその文には甲斐田晴の元の運命について書かれているが、根拠は極めて少ない。本人からの言及がないらしいからな」

「…何故知っている?」
「私を舐めて貰っては困るぞ、姉君と旅人の言う姫様は隠していたようだが…私はあくまでも運命の神様だぞ?見えているからな全て」
「ほんと、ご都合主義様だな」
「それが取り柄だからな。さぁ、その文を読んだら今日は休め」

そう言って黒闇天は消えていった。
私は家に帰り、文を読んだ。

甲斐田晴、魔の説濃厚。
己が魔であるが故に、研究者となった説濃厚。
過去はほぼ不明。
未来についての言及無し。
俗に言う『オタク』と呼ばれる話のみ豊富。
一度、長尾景の式神むーちゃんが魔の時、取り憑かれている。

「…たしかに、曖昧だな」
根本的に情報が少ない。
これについて聞いて、内容次第になってしまうな。
「明日にしよう…」
流石にと思い、私は文を閉じた。

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作者名:神里 | 作成日時:2022年3月23日 8時

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