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桜魔皇国19日目【午前】 ページ18

「あ、来た来た!晴くん、こっちおいで」
神社に辿り着いた晴を、吉祥天は屋根の上から呼んだ。
「え?!屋根の上に?!」
「…あそっか、魎しか出来ないのかあの動き。ちょっと待って」
吉祥天は晴に向かって腕を振った。

すると、晴の前に階段が出来上がった。
「早く登って!それすぐ消えるから」
「あ、はい!」
慌てて階段を登り、屋根の上に立った。
振り返ると階段は消えていた。

「うわ、たっかぁ…」
「いつもこの屋根の上で、黒闇天と魎と私で雑談してたりするんだよ。ここからの星空綺麗でさ」
「そうなんですか…」
「じゃ座って座って、本題に入ろうよ」
「そうですね」

晴は吉祥天に、本の内容を伝えた。
吉祥天はそれを黙って聞いて、内容を全て頭に入れた。
「そっか…やっぱり効く術が無いんだ、さっき景くんも来て見つからなかったって」
「だから、言われたあれ使うしかないのかなって…」
「でもあれ、弱らせてからじゃないとダメだよ。見様見真似の紛い物だし、効力だって魎が使う物より弱いし…」

晴と吉祥天は、まさに万事休すの状態だった。
ふと、晴は質問を投げかけた。
「あの、吉祥天さん。これ使うの景とかの方が絶対いいのに、どうして僕に?」
「あぁ、それはただ相性が良いからだよ」
「相性?」
「だって晴くんは…」

と、吉祥天はそこで言葉を切った。
「え?僕が何ですか?」
「……ううん、何でもないよ。だって、メインで戦ってるのは景くんでしょ?藤士郎くんはそれの援護でしょ?その隙をついて晴くんがそれ使えば良いからさ」
「そ、そっか…?」

「…あたしね、こんな状況なのに、嬉しいって感情があるの」
「え?」
「だって、黒闇天が誰かの為に必死になってるの初めてだから」
「初めてなんですか?」
「そう、だってあの子、ずーっと一人でいたし何より周りから忌み嫌われていた。あたし頑張って守ろうとしたんだけど、黒闇天誰も信じなくなっちゃって、あたしからも距離を置いちゃってここに来たの。閻魔と結婚しても幸せになれなくて逃げてきた…そんな黒闇天が今凄い頑張ってる。だから、嬉しいの」

「良いんですか?黒闇天さんの過去を勝手に…」
「うん、だって今の黒闇天には関係ないもの」
「…そうですか」
「生きとし生けるもの、大小は違えど重い過去はある。人に限らず、それは魔にも神にも言えること。それをどう捉えるかはその者次第だからね」
「…そうですよね、僕もそう思います」
「あら、それは良かった」

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作者名:神里 | 作成日時:2022年3月23日 8時

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