第1章 ページ1
「つ〜づるっ!」
綴「うわっ!…ちょっと、心臓出るかと思ったわ」
今日はクリスマスって事で、綴にもちょっとだけ時間を作ってもらい、駅前のイルミネーションを見に行くことにした。この季節、駅前はカップルで溢れかえるし、お互い人混みは苦手だが、今年はスケールが大きくて見に行った人が口々にイルミネーションの凄さを語っていた。綴の劇団でも駅前のイルミネーションの話が出ていたそうだ。それは気になるので、ちょっとだけ時間をもらい綴と見に行くことにした。
それにしても12月はやっぱり寒い。ここは雪国じゃないけど、ほんとに雪国に行ったら凍え死ぬんじゃないかぐらいに私は寒がり。マフラーも顔半分が隠れ、コートも厚着しすぎてちょっと体がでかく見えてしまう。
失敗したなぁ…
「そう言えば、綴の劇団、次の公演っていつ?」
綴「えーっと…次は冬組なんだけど…ごめん、俺もよく日程詳しく聞かされてないんだよね」
「そっか、分かったら教えてね。見に行く」
綴「Aは毎回欠かさず見に来てくれるもんな。ありがとうな」
突然「ありがとう」と言われ、かっと頬が赤く染まる。
「え、いいのいいの!綴が考える物語、面白いんだもん。」
綴「そ、そう言われると照れるな…」
「な〜に照れちゃって〜!」
綴「いでっ」
綴を横からとんっとつつく。
やったな〜?と、近くにあった少ない雪の山から雪玉を作り、私に投げる。
「うわっ冷たい!この〜!」
私は倍の大きさ雪玉を固め、綴に向かって投げる。手袋が濡れるのでポッケにしまい、素手で雪に触った。しばらく投げあっていると、お互い手が霜焼けになり、雪合戦をやめた。
「ひぇ〜手が冷たい」
そう言って手を擦りながら白い息を吹きかけていると、綴が自分の手を差し出した。
綴「ん」
「?」
綴「手、冷たいんだろ」
「え、」
綴「いいから」
照れながら、私の手を引いて、綴は自分のポッケに手を繋ぎながらつっこんだ。
「…あったかい」
綴「…なら良かった」
綴の顔はみるみる赤くなり、頬をつつくと
綴「やめろ、恥ずかしいだろ!」
と一生懸命照れ隠しをした。
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作者名:すみす | 作成日時:2018年3月23日 23時