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「...今日さ、部活終わって帰ってきたらたまたまうっちーくんがAの家から出てくるとこ見ちゃったの」
外に出て、竜ちゃんの側まで行くと
突然そんなことを話し始めた竜ちゃん。
「A、今日うっちーくんに部活紹介するんじゃなかったの？」
「...うん」
「でも部活紹介してないでしょ？俺、ずっといつ来るかなって待ってたのに二人とも来なかったもん」
どうしてそんなことで竜ちゃんが
こんなに怒っているのか分からなくて、
黙り込んでいたら竜ちゃんはずっと
下げていた顔を、上にあげた。
「A、家でうっちーくんと何してたの？」
「...竜ちゃん、なんで泣きそうなの」
顔を上にあげてくれたおかげで、
竜ちゃんの顔がしっかり見えたと思えば
竜ちゃんの目にはなぜか涙が溜まっていた。
「俺の質問に答えて」
「別に何もしてないよ」
「嘘だ。高校生の男女が、誰もいない家で何もしてないわけないじゃん」
「竜ちゃん何言ってんの？」
竜ちゃんが何を言いたいのか
私はすぐに分かってしまった。
それでも、まさか竜ちゃんにそんなことを
言われると思わなくて、溢れてきた涙が
零れそうになった時、家の扉が開いた。
「深キョン、Aが付き合ってない男とそんなことすると思う？恋だってまだしたことないのに、早すぎるでしょ」
「お兄ちゃん...」
お兄ちゃんは家から出てくると、
竜ちゃんの前まで来て、
竜ちゃんにしか聞こえないように
耳元で何か話していた。
「A、お母さんが呼んでる。俺、ちょっと深キョンと話あるから先戻ってて？」
「...うん、分かった」
お兄ちゃんの言葉にそう返事をして、
家の中に入る前、チラッと竜ちゃんの方を見れば
お兄ちゃんが竜ちゃんの背中をポンポンと叩いて
慰めているようだった。
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作者名：miu*｡ﾟ | 作成日時：2021年2月18日 18時
