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「それまで同じ部活だったけどそんな頻繁に話すことはなくて。話しても業務会話くらいだったの」
「うん」
「...檜山くんってね、イケメンで性格も良くて、ドラムも上手だったからすごい人気だったの。私単純だからさ、そんな檜山くんに話しかけられて少しだけ浮かれちゃったんだよね」
なんの理由もなしに、そんな彼が
私に話しかけるわけないのに。
「すごかった、女の子慣れしてて。距離の詰め方が上手くて、何か檜山くんのこと弄れば仕返しにデコピンしてきたり、"Aちゃん可愛いね"とか言ってきたり。とにかく檜山くんは距離が近かったの」
「...」
「私、そういう免疫ないからさ自惚れちゃったんだよね。"もしかして檜山くん私のこと好きなのかな"って」
ほんと今となって考えれば、
あんなハイスペックが私を好きになるなんて
絶対にありえないことなのに。
「でもね、違った。たまたま檜山くんのクラスの前通った時に聞こえちゃったの、檜山くんと檜山くんの友達数人の会話が」
「Aちゃん」
「檜山くんなんて言ってたと思う？..."慣れてないからデコピンしただけですぐに顔紅くなって照れてんの"ってバカにしたように言ってた」
まぁそうだよね。
デコピンで照れてたら誰でも笑うか。
...あれ、もしかして内村くんも心の中で笑ってた？
「私のこと可愛いって言ってたのも、檜山くんそんなこと思ってないの。私にそう言えば、私が面白いくらい照れるから、それで楽しんでただけ」
「Aちゃんもういいよ」
「...内村くんも、すぐに照れる私を見て本当は心の中で笑ってた？」
転校してきて3日目でこんな話聞かされて、
挙句の果てにそんなこと聞かれて、
私すごい内村くんのこと困らせてる気がする。
「笑わないよ。このタイミングで言うのもおかしいけど、おれは照れてるAちゃんを見てふつうに可愛いって思った。こんなピュアな子いるんだって」
「...」
「だからおれが頭ポンポンしたり、デコピンした時、あんなこと言ってきたんだ」
内村くんの言葉に黙って頷けば、
"ごめんね"と内村くんは頭を撫でてきた。
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作者名：miu*｡ﾟ | 作成日時：2021年2月18日 18時
