私と契約する？【歌い手】

本当の話 ページ21

私は今、山の頂上にいる…

あっ誘拐とかじゃないよ？自分の意思


家にはみんながいるから多分ここには来ないだろう…



誰にも教えない秘密の場所



『……この姿も疲れるなぁ』


そうポツリと呟くと


手を払う、すると落ち葉が舞い上がり私の姿を隠す



ヒラヒラと落ち葉が落ちるとすっかり変わった私の姿が出てくる


『ん、こっちの方が落ち着くや』


着物を身にまとい、お世辞にも高いとは言えない人間の鼻、高い下駄に葉っぱでできてるうちわ、背中にちょこんとある翼


彼女は珍しくも烏天狗といった部類なのだ


しかし、なぜ人間の彼女が烏天狗になったか



それは取り憑かれているのだ…彼女に魅了されてしまった烏天狗に



幼い頃に彼女は怪我をしている烏天狗と出会った


烏天狗は自分のことを不気味がるだろうと思っていたが、渚はそうはいかない



なぜなら妖怪が見えるという特殊な能力を持っているから


怪我をしているのを確認すると自分の着ていたスカートの裾を破り包帯がわりに使用したのだ



烏天狗は驚いた



それはもちろん自分を驚かなかったこと


それに彼女が露わにした脚には複数の痣や傷があったのだ



烏「汝…お礼がしたい…なんでもいい願いを言え、叶えてやる」


すると渚は驚いた顔をして首を横に振った


『私はなにもいりません、貴方が無事で何よりです』


天狗はさらに驚く


欲望がまるでないから


それに幼きにしてここまでの丁寧さ


天狗は興味を持った


烏「本当にないのか？」


念を押すように言うと


『…あえて言うのならば自由がほしいと言う事でしょうか？


私は親から虐待を受け、友人もいない


もし、自由になれば私は喜びます』



烏「ならば受け入れよう」


そう言うと烏天狗は彼女の家の前にいった


そしてまじないを唱えると何処かへ行ってしまった


渚が扉を開ければ両親がなくなっていた


次にドアを開け外に出るとたくさんの人がいた


「「遊ぼう」」


天狗だ…


彼女は幼きながらに思った


すると


“どうだ？これで満足か？”


何処からか声が聞こえた


渚は先程までいた山の中に入っていく


もちろんそこには誰もいない


しかし彼女は叫ぶ



“こんな幸せならいらない！”


友人は見せかけの幻

血縁関係者すらもいない



信用できる人は1人もいない



なら私は

“貴方と友達になる”


これが私の願い


“…面白い叶えてやろう”






これは私と最初に契約した妖怪の話

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