あの子との思い出〜乱歩〜 ページ11
乱歩side
例えば今から30秒後。
敦君らが僕に秋のことについて聞いてくるだろう。
敦「あの、乱歩さん。」
ほら、来た。
僕はなんでも分かってしまう。
乱「…秋の事?」
敦「!…はい、そうです。」
乱「いいよ、話してあげる。」
鏡「!!ありがとう…ございます…。」
乱「与謝野さんから秋が入ってきた時は聞いたよね。」
敦「はい。聞きました。」
乱「まあ僕が秋の事をどう思っているかって言うと
……好きだったよ。」
敦君と鏡花ちゃんは驚いた顔をしている。
乱「はい!もういいでしょ!これ以上何かある?」
敦君は、ぽかーんとしたまま、
「ないです…。」
と言い、鏡花ちゃんと離れていった。
僕はそこにあった駄菓子を手に取った。
…この駄菓子も一緒に食べたな…。
また、一緒に食べたい。
………。
……………僕は何でも分かってしまう。
秋が生きている事も。
太宰と暮らしている事も。
探偵社から消えた理由も。
探偵社に帰ってこない理由も。
全て。そう、全て。
太宰も僕がわかっている事を知っているだろう。
だけど、太宰は何も言ってこない。
僕もあえて言わないようにしている。
その気になれば秋を探偵社に連れ戻すことも可能だ。
だけど、秋が自分の意思でここに戻ってくるのを僕は待つ事にした。
…あともう少し待てばいいから。
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作者名:おむらいす | 作成日時:2017年9月27日 17時