四話【尊敬する貴方】 ページ5
美味しそうな食事が並べられている。
時透は唾をゴクッと飲む。
なぜなら、その中には時透の好物であるふろふき大根があったからだ。
「先日、恋柱殿にお会いした時、話していたので作ってみました。…お口にあうかわかりませんが…。」
時「いただきます。」
思わず食事にかぶりつく。
大根はよく味が染みていて美味しい。
好みの味だった。
「…いただきます。」
阿光も控えめに手を合わせ、食事を始める。
食事中に話題はなく、会話があるとしたら、時透の「おかわり」と言う声だけだった。
ただ、時透はとてもその空気が心地良かった。
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食事が終わり、時透は縁側に座っていた。
夕食の片付けが終わった阿光が、時透の隣に座る。
「温かいお茶です。」
時「阿光さん、ありがとう。」
お茶を一口啜る。
「時に、霞柱殿。」
「私に着いてきた理由をお聞かせ願います。」
阿光は月を見ながらそう言った。
純粋な疑問だった。
時「僕、初めてなんだ。」
時「忘れなかったの。」
「忘れなかった…ですか…?」
時透はぽつりと話し始める。
時「僕が柱に就任した時かな、多分そう。自己紹介をした時、阿光さんの名前だけ忘れなかった。」
時「下の名前も、あなたの呼吸も、あなたの型のひとつひとつ…。」
時「なぜだか、あなたに関することは何も忘れることがなかった。」
時「気づいたら、僕はあなたを尊敬していた。」
「(ここまで饒舌になっている霞柱殿は初めて見た…。それほど彼は忘れっぽいのだろうか…。)」
「…そうですか。」
阿光はそれに対して一言しか言わなかった。
「…霞柱殿、もう遅いです、あなたの屋敷まで送りましょう。」
立ち上がると、服の裾を引かれる。
時「阿光さん、僕のことを名で呼んで…?」
「何故ですか。」
時「僕は阿光さんに"殿"なんて付けられるほどあなたより強くない。それに…僕は阿光さんが好き。憧れの人として、恋愛感情として。」
時「だから…阿光さんに近づきたい。」
時「それだけじゃ…駄目かな?」
「………。」
どうやら、阿光は年下に弱いらしい。
「(私もまだまだですね…。)」
「わかりました、では時透くんと呼びましょう。」
時「阿光さん…いや、Aさん…。ありがとう…。」
「…さあ帰りますよ。」
阿光は帽子を被り直す。
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おむらいす星人(プロフ) - 雪音さん» コメントありがとうございます!これからも応援よろしくお願いします! (2019年12月12日 20時) (レス) id: f5ed810082 (このIDを非表示/違反報告)
雪音 - 夢主ちゃん天然だけどカッコイイ〜!そして可愛い!これからも更新頑張ってください (2019年12月12日 20時) (レス) id: a35ce04668 (このIDを非表示/違反報告)
おむらいす星人(プロフ) - カナデさん» コメントありがとうございます!夢主の魅力が伝わって嬉しいです!これからも応援よろしくお願いします! (2019年11月25日 20時) (レス) id: f5ed810082 (このIDを非表示/違反報告)
カナデ(プロフ) - 堅苦しく礼儀に厳しい夢主ちゃんがちょっと天然でずれてるところが愛らしい笑。宇随さんの「そいつも思春期なんだよ」は思わず吹き出しちゃいました!これからも応援してます。更新頑張ってください!! (2019年11月25日 1時) (レス) id: d6342d80f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おむらいす星人 | 作成日時:2019年11月16日 23時