【鬼滅の刃】光柱は堅苦しい

十七話【重ねる】 ページ18

実「なんでも頼んでいいぞ、今日くらい奢る。」




「いえ、そんな…。」




実「気ィ使うな。」




また頭をくしゃっと撫でられる。




「(今日の風柱殿は何か変だ…。でも…。)」




阿光は少し心地がよかった。




まるで兄が出来たみたいだと。




店員に料理を頼むと、すぐに出てきた。




阿光は手袋を脱ぎ、ポケットに入れると手を合わせる。




「いただきます。」




料理を食べる阿光を、不死川は見つめる。




「…そんなに見られると食べづらいです。それに、風柱殿も食べないのですか？」




実「あァ、俺は酒だけで充分だァ。」




「空腹時に飲むお酒は、胃や肝臓に良くないと聞きます。それに、酔いも早くなりますし…。」




実「物知りだなァ、Aはァ。」




不死川はそう言うと、再び阿光の頭を撫で、頬を撫でる。




「(…もうすでに酔ってないか…？)」




阿光はこのままじゃダメだと思い、急いで料理を食べ、店を出る。




お金はすでに不死川が払っていた。




普通、逆なはずなのだが、鬼殺隊の柱である阿光は軽々と酔っている不死川を背負った。




実「なんだァ？もういいのかァ？俺はまだ飲み足りねえぞォ？」




「風柱殿、貴方そんなにお酒強くないでしょう。それなのに何故…。」




実「お前と飲んでみたかったんだよォ…。」




そう言うと、不死川は眠ってしまった。




「(あぁ…わかった…。)」




「(…きっと、きっとこの方は…私と誰かを重ねてるんだ…。誰かは…きっと風柱殿の兄弟と…。)」




「(音柱殿の怒った理由も、私に向けられたあの優しい目や手も…きっと誰かと重ねて…。)」




「(まあ…これは私の空想だ。風柱殿のご兄弟は男性と聞くし…私と重ねるのは…。)」




「(でも…本当に…重ねているとしたら…。)」




「少しくらいは…役に立ちたいものですね…。」




月に向かって、そう言った。

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