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いまさら? ページ8

登下校、昼休み、少しの休日、放課後。

全ての時間を治と過ごすようになった。それは私と治が付き合っているのではないかというくらいに。

今日も、彼の部活が昼から休みだったためクレープを食べたりして遊んでいる。


「クレープって種類ありすぎて迷うねんな」
「Aカスタードクリーム好きやろ? あと具いっぱいのやつ。やから28番のやつにし」


ずらりとクレープの写真が並ぶ看板を見て唸っていると、治が私が気になっていたクレープを指差してそう言った。

まさかそこまで私のことを知っていると思っていなくて驚いた。大体の好みは侑と同じだけれど、特に好きだというものを誰かに教えた覚えはない。


「私言ったっけ?」
「昔生クリームよりカスタードの方が好きって言うてたの覚えとったねん。あと、どんな料理でも具沢山好きやろ、A」


優しく笑って私の手を引くと、治は自分の分と私の分を注文してくれた。

2人で遊ぶこともなかったわけではないのに、今までとは少し心地が違う。けれど決して居心地悪いわけではなくて、なんだか不思議な感じだった。

手渡されたクレープを持ったまま治を見上げると、かぶりつきながら首をかしげる。
治もモテるんだよな、侑より少々棘がないから。


「……治も具沢山好きよな」
「そやで」
「いっぱい食べられるから」
「ははっ、そんなん言うたなあ。覚えとんや。なんか嬉しいわ」


新鮮な感じだった。
このくらいのカップルだったら、こんなふうに会話をして、こんなふうに遊ぶのか、と思った。

私は本当に何も知らなかったらしい。私にとっての普通は歪曲したものだったから。


「Aは侑に囚われすぎやねん」
「だって、」
「やめろ言わんけど、他にも味見してみるんはありやと思うで」


差し出された生クリームたっぷりのクレープをひとくちもらうと、思っていたよりずっと美味しかった。


「治ってめっちゃ優しいな。あとめっちゃ甘い」


にこり、と、治が笑う。彼らしくない笑顔なのにどうしてか違和感を感じなかった。



「そんな、いまさら」

やりなおし。→←嫌い、大嫌い



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ぴーなつ(プロフ) - ゆーり。さん» ゾクゾク感を感じていただけたのであれば幸いです( ˘ω˘ )!嬉しいコメントありがとうございます! (2020年4月11日 11時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーり。 - 読めば読むにつれて鳥肌が止まらず。。。ほんとにめちゃくちゃゾッとしました。でもそれ以上に言い表せない高鳴りが!!!面白かったです!!!! (2020年4月11日 9時) (レス) id: 56b835e328 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーなつ(プロフ) - (名前)さん» この作品で1番の黒幕と言いますか、操り糸を自在に動かしていたのは治だった、という事実をインパクトをもってお伝えしたかったので、そのようにコメントいただき嬉しいです( ; ; )!ありがとうございます (2020年4月9日 21時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)(プロフ) - めちゃくちゃ良くてびびりました!!特に最後の二ページに鳥肌が止まらないです!夢主はちゃんと恋になったけど治は戀...。予想していない展開でした、とにかく最高です!!! (2020年4月6日 2時) (レス) id: 678e1d11d1 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーなつ(プロフ) - こはるさん» こははははははる!!!ちょっと自分でもびっくりするくらいドロついて収集つかなくなりそうになりながら無事終わらせました( ˘ω˘ )! ありがとう! 侑はドロドロがとんでもなく書きやすい!!笑  (2019年10月18日 23時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぴーなつ | 作成日時:2019年9月18日 22時

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