嫌い、大嫌い ページ7
私が陶酔した侑は、幻だったのだろうか。
ああまた間違えた。幻になりそうなのだ。ララちゃんの手によって。
「治」
「もしもし、やろ。そこは」
「私侑嫌い」
「お、なんや。そんなん言うん初めてちゃうか」
私が泣いて、頭を撫でてくれる侑はもういない。
私に寄り添って、俺がおるやん、と言ってくれる侑はいない。
全部取られた。全部ララちゃんのものになった。権利も、侑の心も。私は何も手に入れられないまま、どこにもやりようのない重たい恋慕を抱えたまま泣くことしかできない。
諦めたくない。
侑を取り戻すためには、永遠に私に縛り付けるためには何だって惜しまない。何もかも彼を手に入れるために仕上げたいのに。
耳の中で彼女が笑う。
──幼馴染面してつきまとうんやめてな。私の侑やから
毒林檎みたいな声。甘くて蜜に溢れるようなのに、口に含むと吐き出しそうな、そんな声。
「嫌い、大嫌い!」
「うん」
「嫌いになったら、侑、焦るんかなあって、思って、」
「ほんまにお前は……」
「本気やで」
何でもすると誓った。
それがどれほど愚かで馬鹿な行為でも、間違えれば何度だってやり直せばいい。最後に笑う結末が、私の糸の先が彼であれば、それでいいのだ。
「ほんま、健気でかわええな、Aは」
「え?」
「俺はAのリードを手放す気さらさらないからな」
きゅっと、また何処かの誰かの糸が結ばれた音がした。
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ぴーなつ(プロフ) - ゆーり。さん» ゾクゾク感を感じていただけたのであれば幸いです( ˘ω˘ )!嬉しいコメントありがとうございます! (2020年4月11日 11時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーり。 - 読めば読むにつれて鳥肌が止まらず。。。ほんとにめちゃくちゃゾッとしました。でもそれ以上に言い表せない高鳴りが!!!面白かったです!!!! (2020年4月11日 9時) (レス) id: 56b835e328 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーなつ(プロフ) - (名前)さん» この作品で1番の黒幕と言いますか、操り糸を自在に動かしていたのは治だった、という事実をインパクトをもってお伝えしたかったので、そのようにコメントいただき嬉しいです( ; ; )!ありがとうございます (2020年4月9日 21時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)(プロフ) - めちゃくちゃ良くてびびりました!!特に最後の二ページに鳥肌が止まらないです!夢主はちゃんと恋になったけど治は戀...。予想していない展開でした、とにかく最高です!!! (2020年4月6日 2時) (レス) id: 678e1d11d1 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーなつ(プロフ) - こはるさん» こははははははる!!!ちょっと自分でもびっくりするくらいドロついて収集つかなくなりそうになりながら無事終わらせました( ˘ω˘ )! ありがとう! 侑はドロドロがとんでもなく書きやすい!!笑 (2019年10月18日 23時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぴーなつ | 作成日時:2019年9月18日 22時