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リードを持つのは ページ3

侑しか知らなかった。
生まれてこのかた17年、彼以外に興味を持ったことがないから。あ、治は別だ。治は大切。


部活後にデートまでして帰ってこない中、マリカーを放って2人で録画していたドラマを見ていた。弁護士のドラマ。テンポが良くて面白い。


「部活なあとデートとか侑みたいな体力ないねんな俺」
「アクティブじゃない彼女がええって言うてたのに」
「ララちゃんがそんな侑を変えたんちゃう」
「はあ? めっちゃ腹立つわ」


私の知らない侑が増えてしまう、私が知っている侑が変わってしまう。
そのことに対して、地獄に落ちるような恐怖を味わうのなんてこの世で私だけかもしれない。

けれど私にとってはそのくらい大変な出来事だったのだ。


「Aは侑のわんちゃんやん」
「そうやで忠犬やけどなにか? わんわん」
「変化をつけたらええねん」
「変化?」


するり、と治の右手が私の首元に触れ、長い指がまわり、親指が喉元を撫でる。


「侑にとって想定外のA」
「想定外の、私……」


私の世界は狭くて小さくて、盲目的になっていた。私にとっては彼しかいないけれど、彼にとって私はそんな大きなものではなくて。



「……ワン」



しっかりと強く視線が交わった。
治と私の中で何かの糸が結ばれた。いや、糸というか、紐というか、リード、というべきか。ただ確かなのは、それは一切絡まっていない、まっすぐなものだったということ。

一方で私と侑の間の何かの糸は、また複雑にこじれてしまったのだろう。



そうして治は私に首輪をかけ、私も彼に尻尾を振ることに決めたのだった。





全ては侑を手に入れるため。
全て、侑が気にいるように。

崩壊する私の彼→←従順な犬



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ぴーなつ(プロフ) - ゆーり。さん» ゾクゾク感を感じていただけたのであれば幸いです( ˘ω˘ )!嬉しいコメントありがとうございます! (2020年4月11日 11時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーり。 - 読めば読むにつれて鳥肌が止まらず。。。ほんとにめちゃくちゃゾッとしました。でもそれ以上に言い表せない高鳴りが!!!面白かったです!!!! (2020年4月11日 9時) (レス) id: 56b835e328 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーなつ(プロフ) - (名前)さん» この作品で1番の黒幕と言いますか、操り糸を自在に動かしていたのは治だった、という事実をインパクトをもってお伝えしたかったので、そのようにコメントいただき嬉しいです( ; ; )!ありがとうございます (2020年4月9日 21時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)(プロフ) - めちゃくちゃ良くてびびりました!!特に最後の二ページに鳥肌が止まらないです!夢主はちゃんと恋になったけど治は戀...。予想していない展開でした、とにかく最高です!!! (2020年4月6日 2時) (レス) id: 678e1d11d1 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーなつ(プロフ) - こはるさん» こははははははる!!!ちょっと自分でもびっくりするくらいドロついて収集つかなくなりそうになりながら無事終わらせました( ˘ω˘ )! ありがとう! 侑はドロドロがとんでもなく書きやすい!!笑  (2019年10月18日 23時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぴーなつ | 作成日時:2019年9月18日 22時

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