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「取り調べの様子も見せてくれないなんて、どういうことですか」
「お前は見んほうがええ、怒りで冷静を失われたら迷惑や。わかったな?」
それ以上何も聞くなと言うような北さんの目が少し怖くて、それでも少しでも関わった事件の真相をきっちりと知っておきたかったから、同期にこっそり頼んでしまった。
取り調べの後の報告をくれ、と。
.
貰った報告書を持って、あの檻へと向かう。
何故だか一人ではなく彼と見たかったのだ。
この事件も彼の協力があったのだろうが、私は彼の前でそれをしたかった。
「調子はどう?」
資料を携え訪れた私を見て、彼は目を丸くした。
慌てて固そうなベッドから飛び降りて、勢いよく檻を掴む。
どれだけ檻を揺らしても、そこからあなたは出ることができない。それはわかっているはずだ。
「なんで、それ、見たらあかん! 見んといて、お願いやから!」
「私ね、知らないことがあるのが大嫌いなの。周りの人間はわかっているのに私だけわからない、っていう状況が特に」
「あかん、それは、お姉さんを傷つける……!」
泣きそうに顔を歪める宮侑を見て、腹立たしさは募る。
あなたは私のなにを知っているの、なんでそう止めようとするの。
「やからそれはなんでって聞いとんねん!」
瞬間、反射的に自分の口元を押さえ込んだ。
パラパラと資料が落ちる。
喉の奥がヒクついて、呼吸がきちんとできているかもわからなかった。
「Aおねーさん、」
私、知ってる。
この子のことを、知っている。
「あつむ、くん」
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ぴーなつ(プロフ) - はるしおさん» ありがとうございます! 展開に重きを置きすぎて他の描写がうまくできていない気がしていたので、そのようにお言葉頂き光栄です……! 更新頑張ります!!!! (2018年9月19日 17時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)
はるしお(プロフ) - すごいです。とても。展開や描写やキャラの心情や、もうすごいです。語彙力が追い付かないのが本当に悔やまれます。変な言葉しか出て来なくてすみません。更新楽しみにしております! (2018年9月19日 13時) (レス) id: 12b75cb48a (このIDを非表示/違反報告)
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