11 ページ11
北さんという人は、聡明な目をしていた。
だから俺も信じたし、あの人もそんな俺を疑うような素振りは見せなかったのだと思う。
「冷たい牢獄へようこそ、北さん」
煽るように両手を軽く広げた俺を一瞥して、いつも刑事さんが座る椅子に彼は腰を下ろした。
冷たい目、けれど、冷静で思慮深そう。
貧乏ゆすりや視線の過度な動きがないところを見るに、俺に対しての警戒心や恐怖心などはさほどないらしい。
落ち着いている賢い人間は嫌いじゃない。
「木南捜査官に外れろって言ったらしいな。理由は?」
「お姉さんを傷つけたくないから」
素直にそう伝えると、彼の眉がぴくりと動いた。
カタン、と椅子を引いて立ち上がると、ゆっくりと檻まで近づいてきたので俺も応えるように近づいた。
密やかに、彼が言葉を紡いだ。
「ここに監視カメラがあるのはわかっとるな?」
「もちろん、初めから気づいとった」
「合格。……木南の過去を俺も知っとる、って言ったら、どうする」
声を出すことはなかったが、平静を保つことはできず、思わず檻を勢いよく掴んでしまった。
ガシャンっと揺れたせいで、北さんも顔をしかめた。
「落ち着け」
「落ち着くも何も、無理やわ。そんな、なんで。……嘘、か?」
「……エクストリーム誘拐、代理ミュンヒハウゼン症候群、リマ症候群。……ここまで言えば、お前はわかるやろ?」
知っている、この人は、あの人の全てを知っている。
「じゃああんたは俺が、俺がここにおる理由もわかっとんか?」
「いいや。お前とあいつの関係も最近知った。ただ、俺はわかっとる。お前は、」
ーーお前は、恐ろしい連続殺人鬼とちゃう
101人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぴーなつ(プロフ) - はるしおさん» ありがとうございます! 展開に重きを置きすぎて他の描写がうまくできていない気がしていたので、そのようにお言葉頂き光栄です……! 更新頑張ります!!!! (2018年9月19日 17時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)
はるしお(プロフ) - すごいです。とても。展開や描写やキャラの心情や、もうすごいです。語彙力が追い付かないのが本当に悔やまれます。変な言葉しか出て来なくてすみません。更新楽しみにしております! (2018年9月19日 13時) (レス) id: 12b75cb48a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ