優しいかくれんぼ【短編集】

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「おきつねさま！ あーそーぼ！」


白い尾を揺らして、私といつも遊んでくれる。
赤い鳥居の下で、私たちは夏の間だけ友達になる。


夏休みがくるたび、私はいつでも彼に会いに行った。
ランドセルを見せたり、制服を見せたり。


「シロ、見て見て、似合う？」

「よう似合っとる。お前はどんどん可愛くなるから心配や」

「何が？」

「変な虫がつくんちゃうんかなと思ってな」


人の姿をした彼は美しい。
白い髪は長く艶やかで絹のよう。


幼い頃から夏の間しか会えない彼に、いつしか私は恋情を抱いていて。
夏がもっと長くなればいいと、ずっと願っていた。


「シロ、どこ？ ……シロ？」

「ここや、ほら、目凝らして」

「よかった、いなくなっちゃったかと思った」


シロはいなくならないと言った。
俺はずっとここにいると言った。




「大きくなったなあ」




あなたに会えなくなるのなら、時間なんて止まって仕舞えばいい。
そうしたら私はもう大きくならないから、だから。


「やだ、大人になりたくない……！」


ずっと子供のまま、何も知らない真っ白な私のままでいさせてよ。


「選び。どうする、A」


「私は」



あなたは、どこに隠れているの？

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