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季節が巡るのがこわいと思ったのは初めてだった。
暑くてジメジメしていた夏の風は、どんどん優しく爽やかでどこか冷たくなっていく。
それが怖くてたまらなかった。
「あれ?」
家の近くの公園のそばを歩いたとき、いるはずのものが、いなかった。
それは、いつもベンチの上で、子供たちを見守っている猫だ。
そしてそれは、この世のものではない。
どくり、と心臓が波打つ。
足が微かに震えて、冷や汗が出た。
ゆっくりゆっくりベンチに近づいて、座る前に手をかざす。
「っあ……」
感じた気配はその子のものだった。
何度もなんども私の膝の上に乗ってくる、甘えん坊のあの猫のものだった。
座ると膝の上にその子が乗った。
たぶん、今は早く撫でろと私の方を見ているに違いない。
頭はこの辺りだろうか、と微かな気配をたどり、撫でているのかわからないまま手を動かす。
パタパタと落ちた雫は、膝の上に乗る猫のものよりはっきり感じて。
もう、どうしようもなかった。
「ごめんね、もう撫でられないの」
尻尾が触れた気がした。
二つに分かれた、長く綺麗な尻尾だった。もう、見ることはできないけれど。
私にできることは、この子を撫でるひとがすぐに現れることを祈ることだけだ。
「ごめんね……」
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ぴーなつ(プロフ) - 通行人Bさん» こういうときついった繋がっててよかったって思うありがとう! (2017年9月6日 1時) (レス) id: fdda74aed7 (このIDを非表示/違反報告)
通行人B(プロフ) - ぴーなつさん» そそ割とコメントしてた!! りえだったんです〜!! 笑 どういたしまして!! (2017年9月3日 21時) (レス) id: 75168181ed (このIDを非表示/違反報告)
ぴーなつ(プロフ) - 通行人Bさん» ありがとう〜〜! 通行人Bて、え、結構コメントもらったことあるんじゃ!?笑 里依だったの!笑 コメントありがとね〜〜! (2017年9月1日 14時) (レス) id: fdda74aed7 (このIDを非表示/違反報告)
通行人B(プロフ) - 3日に1度のペースで読み返しにきてます里依ですよ!! これほんと好きなんだよね!! コメントするの忘れてた気がするからしときます完結おめでとう!! 笑 (2017年8月30日 20時) (レス) id: 75168181ed (このIDを非表示/違反報告)
ぴーなつ(プロフ) - ラシェーヌさん» ありがとう! 悲しいばかりのエンドでも、どこかに美しさや儚さを感じてもらえたのなら!嬉しいです! (2017年8月30日 11時) (レス) id: fdda74aed7 (このIDを非表示/違反報告)
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