かわいいは絶対じゃない【HQ】

出会ってしまった ページ5

なんてことだ。


「もー国見くんって結構毒舌だよね！」


「んー、そんなことないと思うけど」


英はあまり女子と話さない。


話しかけられることはあっても、話しかけないから。


けれど、マネージャーとなったら話は別だ。


仲良くならない方が問題だろう。


彼らが私を見つければ、きっと一緒に帰ろうと言ってくれるだろう。


けれど私は物陰に隠れた。


なんだか今日は隠れてばかりだな。


どうせここで一緒に帰ることになっても、せいらと英の話は盛り上がって、私は入れないだろうから。


そんなの、生き地獄だろう。


一緒にいるのに、同じ空気の中にいない、そんな感覚は。


想像をはるかに上回る辛さなのだ。


そんなの確実に負けを思い知るから、嫌だ。


「せいらちゃんと国見って仲良いよな」


「ですねー…。ん！？」


声が聞こえて振り返ると、そこにはチャラそうな先輩が。


人がいるなんて思いもよらなかったから、驚いてしまった。


「え、えっと…」


「あ、驚かせてごめん。俺、矢巾。2年な。Aちゃんだろ？せいらちゃんからよく聞くから」


「はい。矢巾先輩ですね。はい、Aです」


仲良くなれそうな先輩が増えた、と心踊った矢先。


「いきなりこんなこというのあれなんだけどさ。せいらちゃんって国見のこと好きなのかな？」



あーあ、またか。



またせいらのことが好きな人と出会ってしまった。

彼女の言葉を言ってみる→←これは勝負だ

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