問題児娘 (ページ3)

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上田side

上田「A、体調はどうだ？」

最近体調を崩していて、今日も微熱のあったAの病室へ入り、声をかける。

しかし、返事が返ってくることはなく、

上田「おい、A？」

まさかと思い、膨らんだ布団を捲ると、そこには枕が1つと抜かれた点滴があるだけだった。

上田「くそっ、やられた…！」

Aには脱走癖があって、よく脱走される。

今日は微熱もあったからだるくて絶対脱走しないと思ってたのに、

失敗した。もっとこまめに来るんだった。

Aを探しながら、反省する。

Aのいきそうな場所を片っ端から探していく。

二宮先生やほかの看護師たちにも連絡して、見かけたら捕まえるように行ってある。

あいつ、見つけたら説教だな。

あれだけ、病室からでるなっつっといたのに。

中庭の前を通った時、

二宮「上田先生、Aまだ見つかってないんですか？」

二宮先生の額にも若干汗が滲んでいる。Aを走って探していたのが見て取れる。

あいつ心配かけやがって、

上田「あいつの行きそうな場所は全部さがしたんすけど、見つからなくて」

まだ探してない場所…

上田「…屋上」

そうだ、まだ屋上は探してなかった！

屋上にいると確信し、屋上へ向かって走り出した。

二宮先生も後ろを付いてくる。

屋上につくと、ドアが少し開いていた。

その隙間から見えるベンチに小さな体が1つ横たわっていた。

Aだと認識するのに時間はいらなかった。

Aのそばへずんずんと進んでいく。

上田「おい、A」

少し怒ったような口調で話しかけるが、返事はない。

「けほっけほっ」

小さな咳が聞こえてきた。

前に回って、Aの顔色を確かめると、真っ赤だった。

上田「A！起きろ！」

説教は後にして、Aを起こす。

寝たままじゃ危ない。

「…んっ、…………げ、竜也、せんせー」

目を開けるや否や、嫌な顔をする。

上田「げじゃねぇよ！心配かけやがって！病室戻るぞ！」

いつも通りのAの姿に安心しながら、早く病室に戻らなきゃという思いで、少し声を上げる。

「……やだ」

小声で虫が鳴くように言ったA。

二宮「なんですか？そんなに怒られたいんですか？」

ブラックスマイルで俺の後ろに二宮先生が立っていた