見習い吸血鬼と先輩ヌナ【JK】 (ページ17)

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その日もオッパと吸血しに行っていた。いつもの崖の下。

崖から飛び降りた人から血を吸っていた時、上から声がした。

見つけたぞと声を上げるほうを向くとそこには弓を構えた人間がいた。気付いた時にはもう遅くて、しゃがんでいた私は逃げられない。

怖くて目を瞑った瞬間、鈍い音がした。ゆっくり目を開けると目の前にはオッパがいて、オッパのお腹には剣が刺さっていた。

吸血鬼の弱点である十字架の剣が、オッパの体を貫いていて、そのまま倒れ込む。苦しそうなオッパに声をかけても届かなくて、私はオッパを抱えてその場から逃げた。

その時に、放たれた弓が私の足に刺さったけれど痛くもなかった。とにかくオッパの治療をしなければと必死だった。

館に戻ってオッパの部屋に連れていく。剣を抜いて止血をしても止まらなくて、オッパから教えてもらったやり方でやっでダメで。

その間もオッパはすごく苦しそうに息をしている。ポロポロと流れる涙を拭いながらオッパの傷口を押さえていると、突然名前を呼ばれたんだ。

優しくて、暖かくて、大好きな声。

「……っ、オッパ、、オッパ、だめ死んじゃだめ。わたしが、助ける、からっ」

〝A、聞いて〟

「っ、」

〝オッパはね、Aを拾ってからすごく幸せだったんだ。一緒に笑い合って、泣いて、こんなに信頼できる人と出会えて本当に嬉しかった。ひとりぼっちで寂しかったオッパのところに来てくれてありがとう。〟

「オッパっ、！」

〝ほら、泣かないの。Aはもう子供じゃないんだから〟

「まだオッパに教えてもらってないこと……、いっぱい、あるのにっ、まだこどもだよ、オッパ」

〝あんなに小さかったAが、こんなに大きくなったんだね。もう俺は安心だよ〟

「やだあっ、いやっ……、オッパ…」

〝A、これからも元気に必死に生きるんだよ〟

そう言って息を引き取ったオッパに、私は数日間泣き続けた。