正反対カップル.3 (ページ29)

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紫耀「今日ほんまにびっくりしたねんけど」

家でゆっくりする時間。
参考書に線引きをするAを後ろから抱きしめて言った。

『だって、バレないように参戦したらバレちゃったんだもん』

紫耀「Aはオーラがあるからバレんねん」

『うーん、そんなことないけどなぁ』

紫耀「でもさ、のんちゃんはアカンで」

『えー、なんでー？』

紫耀「アカンもんはアカンねん」

『廉くんならいい？』

紫耀「廉もアカン！」

『じゃあ誰ならいいの？』

紫耀「俺やったらいい」

Aは何も言わずに線を引き続ける。

紫耀「怒った？」

『……』

紫耀「なぁ、A？」

『……』

Aちゃんどうしちゃったん？
何も喋らん。

紫耀「A 大丈夫？」

『さて問題です。私が今、喋らなかった理由は何でしょう？①紫耀がウザイから ②私も紫耀を独り占めしたいから ③なんとなく黙ってみた』

紫耀「②がいいけど、①な気がする」

『じゃあ答えは①ってこと？』

紫耀「う、ん…」

『ブッブー、正解は④。今日私が困ったときみたいに、紫耀も困ればいいと思ったからでしたー。まぁ困り方が全然違うけどね』

紫耀「え？困った？」

『みんなの前でキスしないでよ！めちゃくちゃ恥ずかしかったんだから！あのあと恥ずかしすぎて早口で喋っちゃった』

紫耀「我慢できんくなって…」

『それでも抑えてよ。恥ずかしすぎてみんなの顔見れなかった』

紫耀「それでいいやん。みんなの顔が見れへんってことは俺のことしか見えへんってことやろ？」

『本当にアホだね』

Aは『よし』と言いながら参考書を閉じた。

『さて、甘えん坊な紫耀ちゃんの相手をしてあげましょうか』

紫耀「ふふん♪やったぁ」

『はいはい、女子よりも可愛いの反則』

紫耀「そんなこと言ったらお仕置きするで」

『なんでお仕置きされなきゃいけないのｗ』

紫耀「チュー」

俺が目を瞑って唇を尖らすと、数秒経ってから唇に何かが当たった。
目を開けるとAがクスクス笑っている。

『紫耀、この子にチューしたの』

と意地悪く笑いながらクマのぬいぐるみを指差す。
Aはそのぬいぐるみを強く抱き締めてクマの頬にキスをした。

紫耀「俺、初めてぬいぐるみになりたいって思った」

『じゃあ生まれ変われるといいね、ぬいぐるみに』

紫耀「今なりたい」

『抱きしめてほしいの？』

紫耀「うん」

俺はAの許可を取らずに細い体を抱きしめた。