正反対カップル.3 (ページ11)

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勇気がないページ11

*紫耀side*

テレビ局の廊下の角で、Aとぶつかった。
俺らホンマに運命ちゃう？？

でもAの肩が少し震えていた。
マネージャーさんはなぜか俺を鋭く睨んでくる。

紫耀「Aがいつもお世話になってます」

俺も、マネージャーさんにしか分からないように少し睨んでからお辞儀をした。
この人絶対なんかある。

『私たちちょっと急いでるからまたね』

Aは俺と目を合わせずにマネージャーさんの手を取って足早に行ってしまった。

Aも何か隠してる。
ずっと一緒におるもん。
そんなことくらいわかる。

俺は2人の後を追った。
角越しに聞こえてくるAの声。

『もうプライベートまで侵入してこないでって言ったよね？』

直樹「それでも俺は簡単に諦められないから。絶対奪うから」

『なら私は絶対奪われないから』

これだけじゃ何の話かわからん。
奪う奪わんって何のこと？
でもその後の会話で全てが繋がった。

直樹「ならこれだけ、答えて。もし俺があんな最低なことしてなかったら、Aは俺のこと好きでいてくれた？」

『その質問をすること自体が最低だね』

直樹「最低だと思われる覚悟をして聞いてるんだよ」

『……』

直樹「答えて」

俺は無言のAがなんと答えるのか、聞けなかった。
気づいたら走り出していて、胸が押しつぶされそうになった。

あの後Aが「好きだったかもね」なんて答える姿が頭に浮かぶ。
そんなことを直接聞くことが怖かった。
勇気がなかった。

Aのマネージャーさんは、Aの元カレやったんや…
もしこのままあの2人がよりを戻したら？

俺は多分生きていけへん。
Aが全てやから。
絶対立ち直れへん。

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