Prolog ページ2
『あー…』
"目が痛い"
ポツリと呟いた言葉は、誰にも届くことなく、
静かな部屋に溶けて消えた。
椅子に全体重を預け、軽く体を伸ばす。
ん〜っと、少し間抜けな声が出てきた。
どっかの富豪メンタル激弱男の、突然の異能力
暴走によって飛ばされたのは、無駄にキラキラ
した世界だった。
急に見知らぬ場所に飛ばされ、一時はどうなる
ことかと思ったが、その心配は要らなかった。
この世界にはもう一人の僕が居たらしく、この
世界の記憶は全部ある。
それに、この事態に似た事は幾つも見てきた。
もう慣れっこではあるのだが…
『(ポオの野郎…戻ったら異能で…)』
そう、かく言う僕自身も異能力者なのだ。
異能力名は『触れた指先』。
見たり聞いたりしたもの、触れたもの、想像し
たものを具現化できる。
戦闘向きではないが、出したものは残すことも
消すこともできる、ちょっとだけ便利な能力。
『はぁ…ん?』
机の上でスマホがカタカタと震えている。
液晶パネルには電話番号が映っている。
『(見たことないな…誰だ…?)』
通話マークをタップして、耳に当てた。
『もしも──
《ヤッホー!元気してる?》〜〜〜っ!?』
耳が死んだ…
アイツ…
『声デカい。聞こえてるっつの。で何』
《イヤン、辛辣。まぁいいや!》
いいのかよ…
というツッコミは呑み込んだ。
《今から看守長室に来てね!待ってるYO!》
ブツッ
ツー、ツー…
なんなんだよ…
看守長室に来い、か…
僕、なんかしたかな…身に覚えがない。
『とりあえず行くか』
脱いでいた白衣を着て、私は部屋を出た。
☪︎⋆。˚✩ ☪︎⋆。˚✩ ☪︎⋆。˚✩
次回!看守長室へ!電話の相手も分かるよん!
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作者名:ru-vu | 作成日時:2017年9月17日 15時