筒抜です作間くん。

#10 : 自覚 ページ10

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作間くんはいつも以上に饒舌に妄想を繰り広げている


お陰様で私の扱うラケットはボールを見逃す一方だ



『ごめん、いつもはここまでひどくないんだけどね』


「いやいや、」


テニス苦手なAさんも可愛いよ





彼の発言にまた手元が狂う


なんだか言い訳くさかったかも


とも思ったけれど、


ボールを取りに走っても可愛い
ラケットを構えていても可愛い


挙句、サーブのために腕を上げた時に覗いた手首をじっと見つめた後


俺よりずっと細い、片手でも簡単に押さえつけられそうだなぁ とか何とか


それらを聞き流しているのだから八つ当たりしていないだけマシだ


一挙一同全てに反応する作間くんの心の声は気が散って仕方がない








そうだ、もっと頭を使う様な話をしよう


そうすればきっと作間くんの意識もそちらに向くだろうし


例えばほら、今私に痛いほど刺さっている視線の話とか



『作間くんってすごくモテるんだね』


「……え？」


『ぇ？や、ちが』



口が滑った


そう気が付いた時には手遅れなもので


ちがう。こんな直球で言う予定じゃなかった


もっと遠回しになんか視線感じるね、みたいな



『いや違くはないんだけど、作間くんのこと見てる人いっぱい居るね、って』


「へ？あ、そうなの？」


何をそんなに見るものがあるんだろ

あ寝癖とかついてたかな

やば、Aさんに見られてないといいな



どう考えても違うでしょ


顔とスタイルだよ


もしかして、作間くん自分がモテてる自覚ないの？



『何も感じたことないの？』



私の質問に作間くんは遠慮気味に頷く



「周りあんま見ないからかも」





Aさんしか目に入らないし





当たり前だと言わんばかりの表情


…こんなの、もうお手上げだよ





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