筒抜です作間くん。

#03 : 年相応 ページ3

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意識を授業に戻すと背後からトントンと叩かれて振り向く



「黄瀬さん、コレ」



出された作間くんの右手の下に警戒心を持ちつつ手を出した


ポトっと落とされたのは先程落としたであろう私の消しゴム



『あ、ありがとう』



作間くんは私を一瞥すると直ぐにノートに視線を下ろした





なんなんだ


どういたしましてくらい言っても良いじゃないか


大体何だよ黄瀬さんって


心の中じゃ名前で呼んできてるくせに！





なんて心の叫びも作間くんに届くはずも無い


そう、作間くんが好意を持った発言をするのは心の声のみ


表向きの作間くんは好意どころか友好さすら微塵も感じなければ、最低限の会話以外一切話しかけてこないのだ


それだけじゃない


他のみんなが描く作間くんの像は私が聞く心の声の主とはかけ離れていた








作間龍斗


彼自身目立つ様なタイプではないが密かに人気を博しているのを私は知っている


かっこいい

作間君みたいな人と付き合いたい


このクラスになってからそんな声を何度聞いた事か





やっぱ作間くんの横顔綺麗だなぁ





今だってほら、きっと作間君の隣の子が熱心な視線を飛ばしているのだろう


端的に言えば、彼は見た目が良い


切長の目にしっかりとした鼻筋
そして背も高くて寡黙で大人びている、と


寡黙で、大人びている


今の作間くんは真逆だ


心の声は毎日朝から騒がしいし


男子高校生らしい性への好奇心は年相応


この年相応の妄想と大人びた風貌とのギャップが
またその対象が私である事が


私を居た堪れなくしている





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