筒抜です作間くん。

#11 : 理由 ページ11

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「Aちゃん！どうだった？」



授業終わり真っ先に声を掛けてきたのは意外にも桜ちゃんだった


その後ろに立つ伊吹は慣れた手つきでラケットを回している



「A空振り多かったね、作間下手だった？」



私ならAとでも上手くやれるんだけどな



『作間くんは下手じゃなかったよ
私がうまく出来なくて、』


「そっかぁ、なんかね先生が話してたんだけど
今日のペアのままラリーテストするかもしれないんだって」



中田君が先生にめっちゃ頼んでたし



挙げられたのはクラスでも一軍と呼ばれる類の人で


面倒ごとを避ける先生の性格と、中田君のキャラを以って考えればこの話は確実だろう





それなら、もっと練習しなきゃだな


優秀な作間くんの成績を落とすわけにもいかないしね


そんなことを考えていたのも束の間



「それでね、桜考えたんだけど
Aちゃんと桜交換しない？」



桜は不可もなくラリーが出来るし、伊吹ちゃんはAちゃんのサポートが出来るほどうまいから、と


少し前の私だったら藁にもすがる思いでそれを受け入れたと思う


でも、急にペアを変えて作間くんはどう思うんだろう
なんて



『それはみんなに悪いよ、』


「桜はへーきだよ？作間くんが変に思わないように上手いこと言っとくしさ！」



断る為の最適な言葉も理由も見つからない


そもそも断ってどうするんだろう
作間くんの心の声に思い煩っていたのも事実だし


どうしてこの期に及んでこんな


私、作間くんとペアでいたいの？








ぐるぐると考えても自分の気持ちすらわからなくて


ね！と念押しされたら頷かざるを得なかった





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