#16 : 淡い期待 ページ16
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# Uchimura
諦めてみれば案外、気楽で
高校生活は空白だったかのようにあっという間に過ぎ去って行った
別に学生生活を取り戻そうなんて今更考えもしない
ただ、自然に、普通に、当たり障りなく生きていければそれで良い
そんな思いで大学は聴覚障がいの学生支援を行なってるところに入った
ここなら、おれを理解してくれて、普通に生活できる空間があるかもしれない
早速申し込んだノートテイクのボランティア
相手は直ぐに見つかった
「内村くんと被ってる講義多かったし、私ノートテイクの経験あったから立候補したんだ！よろしくね」
『ボランティアなのに、ありがとうございます』
「そんなかしこまらないでよ、
ねぇ連絡先交換しない？PCテイクとかしたらデータ送れるしノートより便利でしょ」
暫く使っていなかった連絡先に入った彼女の名前
そのあとも楽しげに話を繰りなす姿を見て、あぁこの人ならって
また、淡い期待を抱いた
「これから長い付き合いになるかもしれないし、今夜ご飯でもどう？」
『そう、ですね』
彼女に連れてこられたのは気取らない落ち着いた雰囲気のお店で
小さな空間にゆったりとした時が流れる
それなのにそんな時間は瞬く間に過ぎていった
駅までの帰り道
このまま時が止まれば良いのに、なんておれの願いを叶えたかのように降り出した雨
「ねぇ、雨宿りしよっか」
『…え、』
「内村くんかっこいいから、入学した時からずっと気になってたんだぁ」
彼女に腕を引かれて
目の前には派手な外装をした建物
所謂、いかがわしい事をするホテル
『あ、いや、やっぱり帰ります』
「なんでよ、」
時が止まったら、もっとお話しできるかなって
仲良くなれたら普通の友達ができて
普通の生活が送れるかも、
なんて
「イケメンだって周りが言ってるからわざわざノートテイクだって立候補してあげたのに」
無償の優しさなんて存在しない
何かをしてもらうには、何か返さなきゃいけなくて
ただその”してもらいたい何か”はおれが普通でいる為の必須要件で
でも何かを返せない人間にはその享受すら許されないんだ
あれ、人の手ってこんなに強くて痛いの？
無理に振り解いて雨の中を駆けた
おれの名前を呼ぶ声と
周囲の雑音と雨音が混じって
頭がクラクラする
諦め切れない世界はやっぱり居心地が悪い
少しでも期待したおれが馬鹿だった
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徒歩５分(プロフ) - 更新頻度も不安定なものでしたが、最後まで読んで頂きありがとうございました。やっとこちらが完結したのでノマエンの方も再更新したいと思います。 (2022年1月13日 2時) (
レス) id: 045302e95b (このIDを非表示/違反報告)
徒歩５分(プロフ) - 作中には書いてませんが深田くんは最後まで主人公を想い続けていました。それ故に想いを伝えることなく内村くんの背中を押した。伝えても主人公を悩ませてしまうと分かっていたからです。 それが1番愛が重い気がしたので、という完全なる私情ですがね🙌 (2022年1月13日 2時) (レス) id: 045302e95b (このIDを非表示/違反報告)
徒歩５分(プロフ) - 話数も文字数もいっぱいになってしまったので此処であとがき失礼します。 どうしても50話で終わらせたくて最後に詰め込んだ形になってしまいましたがお話はこれで完結です。 (2022年1月13日 2時) (レス) id: 045302e95b (このIDを非表示/違反報告)
徒歩５分(プロフ) - 結羽さん» コメントありがとうございます。そう言って頂けてとても嬉しいです (2022年1月13日 2時) (レス) id: 045302e95b (このIDを非表示/違反報告)
結羽 - コメント失礼します🙇♀️更新楽しみに待っています。 (2022年1月6日 21時) (レス) @page43 id: dae3c1a76c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：徒歩５分
| 作成日時：2021年7月18日 15時
