#12 : 勿体無い ページ12
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爆音と共に開かれた講義室の扉
発生源は私を見つけ次第また大声を出した
「A！何があったん！！」
『深田うるさい』
「俺はAが心配で！」
「もー深田は朝から騒ぎ過ぎ」
遅れて教室に入ってきた栞ちゃんが何とか深田を宥めている
と思ったのも束の間
「それにしても先輩にビンタからのグーパンって笑
Aもすごい事したね」
『栞ちゃんまでそんなこと言わないでよ！』
昨日のテラスでの一件は瞬く間に広まってしまった
流石に場所が悪かったとしか言いようがない
人伝に広まっていくソレは少しずつ誇張されていく
そんな噂を聞き付けた人からの視線は痛いほどに刺さって、かつてないほど大学が過ごしにくかった
だけど後悔は無い、はず
心理学の授業は相変わらずルーズでチャイムが鳴っても室内はザワザワとしたまま
栞ちゃんも例に漏れず話を続ける
「でもさぁなんで殴ったわけ？」
『あの人達、内村くんのこと悪く言うんだもん』
「…随分と内村くんに肩入れしてるね」
そう言って栞ちゃんは少し呆れた顔をした
人に感情移入して手を出したなんて、呆れられて当然だ
理性のない行動だって事くらい分かっている
だけど、あの時はそれ以上に内村くんの事で頭がいっぱいだった
『だってさ、内村くんってすごいの
優しいし、かっこ良くて背高いし、頭も良いし』
「そんなの完璧過ぎて逆に怖いんだけど」
『んね。私も最初そう思った
けど謙遜とかじゃなく自分に自信なさげで何もかも頭ごなしに諦めてて、…それって勿体無くない？』
何もかも完璧に思われる内村くんが社交的では無いのには理由があって
そうさせてしまった原因が周りの人や環境にあって
私はそれがすごく勿体無いと思った
『おこがましいかもしれないけど、内村くんの力になりたいんだ。変な噂とか酷い事言う人達から守りたいの』
栞ちゃん本日２度目のため息
「…あんまり変なのに巻き込まれないでね。
まぁAのそういう所好きだから止めはしないけど」
『栞ちゃん！』
海外ドラマみたいにわざとらしく熱い抱擁を交わす
そんな私達を見て、ずっと黙って話を聞いているのかも分からなかった深田が口を挟んだ
「…じゃあAは」
『わたしが何？』
「あ、いや、なんでもない」
直ぐに言い消した深田はこちらに目もくれず教壇に焦点を合わせたまま
聞き返そうと思ったけれど教授が期末考査の話を始めたせいで聞かずじまいで終わってしまった
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徒歩５分(プロフ) - 更新頻度も不安定なものでしたが、最後まで読んで頂きありがとうございました。やっとこちらが完結したのでノマエンの方も再更新したいと思います。 (2022年1月13日 2時) (
レス) id: 045302e95b (このIDを非表示/違反報告)
徒歩５分(プロフ) - 作中には書いてませんが深田くんは最後まで主人公を想い続けていました。それ故に想いを伝えることなく内村くんの背中を押した。伝えても主人公を悩ませてしまうと分かっていたからです。 それが1番愛が重い気がしたので、という完全なる私情ですがね🙌 (2022年1月13日 2時) (レス) id: 045302e95b (このIDを非表示/違反報告)
徒歩５分(プロフ) - 話数も文字数もいっぱいになってしまったので此処であとがき失礼します。 どうしても50話で終わらせたくて最後に詰め込んだ形になってしまいましたがお話はこれで完結です。 (2022年1月13日 2時) (レス) id: 045302e95b (このIDを非表示/違反報告)
徒歩５分(プロフ) - 結羽さん» コメントありがとうございます。そう言って頂けてとても嬉しいです (2022年1月13日 2時) (レス) id: 045302e95b (このIDを非表示/違反報告)
結羽 - コメント失礼します🙇♀️更新楽しみに待っています。 (2022年1月6日 21時) (レス) @page43 id: dae3c1a76c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：徒歩５分
| 作成日時：2021年7月18日 15時
