エンカウント

▽２つの秘密 ページ10

なるべく音を立てない様に講義室に入る
見慣れた後ろ姿を見つけて静かに隣に腰掛けた


代筆しといたよ〜と小声で教えてくれる友人の和沙


中学時代の友達が１号で、うみくんが３号なら彼女は私の友達２号



「…午後からなのに遅刻って珍しいね」


「寝坊しちゃった」


「え、寝過ぎでしょ」


「んね。冬眠レベル」



和沙の笑い声に数人がこちらに振り向いて来た
前の席の人に軽く謝って和沙の肩を軽く叩く









あーもう、授業に遅刻したのも前の人に睨まれたのも全部うみくんのせい


うみくんとの約束通り目覚まし３個かけてまで早起きをして、モーニングコールして


大学まで暇だな〜なんて考えてゲームを始めたのが間違いだった


１時間ちょいで無事寝落ち


目を覚ます頃には講義の始まる時間で超特急で家を出た


“Aちゃんのおかげで遅刻回避〜” とかいう、うみくんからのLINEが少しだけむかつく


私は貴方のせいで遅刻しましたよ









どんな皮肉混じりの返信をしてやろうか考えていると隣から熱視線を感じた


私のスマホを覗き込んだ和沙は興味津々な様で



「ねーこれ昨日のデートの人？」


「いや、デートじゃないって」


「でも夜に2人で食事でしょ？彼氏じゃん」


「ただの友達だよ」


「え〜！ただの友達と夜中に３時間も通話しないでしょ」


「ちょっ、勝手に見ないでよ」



何を言っても譲る気がないのか、和沙は全然納得してくれない


それどころかうみくんとのトーク履歴を勝手にスクロールしていく


この強引さのおかげで友達になれたけど
今日ばかりは少しだけ鬱陶しい



「ねぇ和沙、ほんとにやめて」

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