▽2人の関係 ページ35
瞬く間に到着してしまった
うみくんの後に続いて降りたタクシー
ギュッと握り直された手は少しだけ温かい
雪には満たない雨みたいな氷を避ける様に
足早にうみくんの家まで駆け抜けた
うみくんのお家のドアにできた外との境界線
これを越えたら、きっともう後戻りは出来ないかもしれない
「なに止まってんの、早く入って。寒い」
「ちょっと、うみくん!」
覚悟を決めようとしたのに
トンっと押されて案外簡単に飛び越えてしまった
部屋に入ったうみくんは慣れた手付きで電気と暖房を付けている
白基調のお洒落な部屋
しかも何かいい匂いがする
香水とは別の落ち着く匂い
こんな呑気な事考えてる場合じゃないのに
「適当なとこ座って」
「お、お邪魔します…」
「また緊張してんの
どうする?なんか飲む?」
「すぐ帰るから、要らない」
「はいはい、ジャスミン茶にするね〜」
奇抜な柄のマグカップに入ったお茶が目の前に置かれた
白いテーブルを挟んで向かいに座るうみくん
カイロ代わりに渡した缶コーヒーを飲んで
ぬるい、なんて呟いている
.
「…何で突然関係切ろうとしたの?」
空になった缶を置いたうみくんは何処か悲しげな表情で話を切り出した
「うみくんが、その、芸能界の人だって分かったから」
「それで怖気付いた、
って訳では無いでしょ」
「いや、それであってるよ」
何で、って顔をするうみくん
うみくんにとって私ってどんな人間なんだろう
「本屋さんでね、うみくんの事を応援してる人を見かけたの。楽しそうで輝いてて
良いなぁって」
「…うん、」
「だから、もしも見ず知らずの女…、私なんかがうみくんと仲良くしてるって分かって、その子達に悲しんで欲しくないと思った」
そんなに詳しく知っている訳じゃ無いけど
芸能人にとって、増してやアイドルにとって
女の影がある事は致命傷で
それが今後の活動に響く事くらいは私でも分かる
「…私はうみくんにも、うみくんの事を好きな人にも幸せになってほしい」
偽善だと思うならそれで良い
多分それであっているから
吐き出した感情は所詮建前で
本心では苦しい現状からただひたすらに逃れたいだけだ
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ゆうき(プロフ) - この作品が大好きでもう何回もよんでいます(;;)アフターストーリーの続きや新しい作品を是非書いていただきたいです!(;;)♡ (2023年1月31日 3時) (レス) @page43 id: 583352b4d8 (このIDを非表示/違反報告)
にぱたん(プロフ) - まさか本当に続編がみれるとは!!!!感謝です(^^) (2021年1月13日 22時) (レス) id: 31132576ac (このIDを非表示/違反報告)
来世は野崎が良い(プロフ) - うみちゃん大好きさん» 最後まで読んで頂きありがとうございます!まったりですが続きを書いていきたいと思います(^ ^) (2021年1月13日 18時) (レス) id: c4fad7458f (このIDを非表示/違反報告)
来世は野崎が良い(プロフ) - にぱたんさん» ありがとうございます(> <)話数の許す限りアフターストーリーを書いてみようと思います 笑 (2021年1月13日 18時) (レス) id: c4fad7458f (このIDを非表示/違反報告)
うみちゃん大好き - 毎回楽しみにしていました!!完結してしてしまって寂しいです(;_;)ぜひ続編をお願いします!!!!! (2021年1月13日 0時) (レス) id: 11000fae55 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:来世は野崎が良い | 作成日時:2020年12月23日 17時