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下校時刻を知らせるチャイムが聞こえる


部室でぐだぐた話していたらあっという間に時間が過ぎていた



『まって、こんな予定じゃなかったのに』


「俺ら死ぬほど話してんじゃん 笑」


『今日一無駄な時間だったわ』


「は、有意義な時間の間違いでしょ」



容赦無くヘッドロックをかましてくるうみ


距離がいつも近いのは仲良くなり過ぎた特権でもあり
遠慮も恥じらいも無いのはその代償でもある









なんとかうみの腕を抜けて部室を出ると廊下の窓の外にちゃかの姿があった



『ちゃか〜!』



聞こえるようになるべく大きな声で呼ぶと
周りの人までこちらを見てくる


ちょっと恥ずかしい


ちゃかはサッカー部の輪を抜けるとこちらに来てくれた



「まだ残ってたんだ」


「Aの部室でだらけてた」


『せっかく残ったし
まつくも誘って4人で帰ろーよ』


「それさんせ〜」



下駄箱集合を約束してちゃかに別れを告げる


次に向かう先はまつくの居る体育館









歩くの疲れたってごねるうみは下駄箱に放置してきた


体育館を覗くと制服姿のまつくが一人


バレーボールをいじるのに夢中になっているまつくにこっそり近づいて後ろから声をかけると、これでもかという程驚いていた



「帰るんじゃなかったの」


『まつくが寂しいかなって思って待ってた』


「は、」


『ごめん嘘』


「なんだよ」



ぶつぶつ文句を言いながらボールに空気を入れるまつく


バレーボール用の空気入れなのか、でっかい注射器みたいでちょっとカッコいい


まつくの力になれたらって手伝ってみたけど、空気入れ過ぎでパンパンのボールを生成するだけだからやめておいた



『てか、なんで一人でやってたの』


「今日部活行くの遅れたからさ」



遅刻したせいで倉庫の鍵閉め担当になったらしい
そこでボールの空気が抜けてるのに気付いてやってたとか何とか









とにかく偉過ぎる


私だったら見なかったことにするし、何なら跳び箱の中とかに隠して無かったことにする


まつくは私が関わってきた人達の中で1番 “良い人” だと思う


口を尖らせていかにも一生懸命です!って顔をするまつくが無性に愛おしく感じた





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作者名:来世は野崎が良い | 作成日時:2021年1月24日 1時

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