一生忘れない一瞬を (ページ3)

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「俺も後ろの席が良かった」

ただでさえ可愛い顔を更に可愛くさせて傷心中の松倉海斗

私達が３人とも席が近いのに1人だけ離れてしまった事が悲しいらしい

なんとも可愛い悩み

『元気出してよまつく～
授業中以外は4人一緒じゃん！』

今だって、1人孤島に離されたまつくの席を囲って昼食をとっている

「そーそ、帰りも一緒」

「あ、それなんだけど俺、今日部活」

うみと慰めようとしたけど無駄だったみたい

まつくは購買で買った菓子パン片手にケロっとした顔で帰れない宣言

「じゃあ今日もAと2人か」

サッカー部のちゃかはかなり忙しいから
帰宅部のうみと帰るか、偶にまつく含め３人で帰るのがほとんど

だけど今日ばかりは違う

『そんなうみちゃんに悲報
　私も今日部活ある』

月２程度で活動してるゆるい写真部

その２回のうちの１つが今日

「マジで」

「そんな海人に朗報
　俺は今日部活休み」

小さくVサインをするちゃか

久しぶりにちゃかと帰れるなら部活もサボりたかったけど

生憎夏の大会に向けて出展するモノを選ばなくてはならないからサボれない

「A、待ってようか？」

まつくに負けじと寂しい気持ちが顔に出ていたらしい

うみは心配そうな表情で私の顔を覗き込んだ

『んー、今日は遅くなりそうだからいいや』

「まぁいつでも帰れるしいっか」

「良かった～
Aまで帰るって言ったら俺、部活サボってた」

口いっぱいにパンを詰め込んだまましゃべるまつく
そんなまつくを笑うちゃかとうみ

いつもと変わらない何気ない日常の一コマ

だけど、何故だか腑に落ちなかった

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