一生忘れない一瞬を (ページ12)

今日:1 hit、昨日:2 hit、合計:17,620 hit

12 ページ12

.

メッセージは部活に行くなって書いてあったけど
傘なら持ってきたし

うみとはちょっと気まずいから一緒に帰りたくないし

今回ばかりはスルー

呼び出しに応えるうみなんて見たく無かったから
終礼と同時に教室を出てやった

それなのに、まつくが後ろをちょこちょことついてくる

『…さっきからなに？』

またやっちゃった

まつくは何も関係ないのに

ただの八つ当たりだ

「A、今日なんか変」

『別に通常運転だよ』

「嘘だ。…なんかあったっしょ」

まつくとはそんなに身長差が無いから
顔を覗き込まれたら必然的にきゅるっとした顔と目が合う

純粋で真っ直ぐなまつくを前にしたら嘘はつけないなって

『……私も、まつくみたいに可愛くて優しい人になりたかった』

そう呟くと、私の両肩を掴んで切羽詰まったような顔をするまつく

「なんだよそれ
もしかして誰かになんか言われた？！」

『違う、単にそう思っただけ』

「Aはかわいい、？と思うよ…俺は」

何で疑問系なんだ

それに、どういう励まし方？

『まつくに言われても嬉しく無いな～』

「なんでだよ」

『だって自分より可愛い人に言われても信憑性ゼロっていうか』

「俺可愛くないって！Aのが、」

尻窄みになっていくまつくの声

ふと周りを見ると他のクラスの人達にまで見られていた

「…とりあえず場所変えよう」

そう言って、私の腕を掴んだまま歩きだした

.