・ ページ19
私を見つめる瞳はまっすぐだ。席替えのときだけじゃない、やっぱ今も。
「……食べられたいなぁって」
「…………は？」
流石の影浦雅人くんでも、想定外だったらしい。
月の様な瞳がまん丸に見開かれ、半開きのお口。
「金色のおめめと、ぎざぎざの歯みて、狼みたいだなって思って」
きゅ、と抱き着き、おでこを彼の肩辺りにぐりぐりと押し付ける。
「この人なら食べられてもいいかもって思っちゃった」
サイドエフェクト、痛かった？と見上げた私の唇へ、かぷりと食いつく雅人くん。
思わず瞬きをする私に、早く目を閉じろと言わんばかりの圧で見られ大人しく瞼を閉じる。
ちゅ、ちゅ、とわざとらしく音をたて繰り返されるキス。頬を撫でていた手は後頭部に回って支えられる。
首に回していた手を縋る様に力を籠め、シャツを握った。
空気と共に、自分のものとは思えない、鼻にかかる声が抜ける。
角度を変えて、何度も味わう様に触れられる。酸素を得ようと口を開けば、割り入る様に入り込む舌に腰が疼いた。
「ま……さと、く…ｯ」
段々苦しくなって胸板を押すと、ようやく解放される。
離れた舌先から唾液が糸を引いて、ぷつりと途切れた。
すり寄る様に首筋に顔を埋め、耳たぶを甘噛みする雅人くん。ぴくりと体が跳ねて、シャツを握り直す私に吐息の混ざる声が呟く。
「あんま可愛い事言うんじゃねぇ。…マジで食うぞ」
「今日、凄く素直だね」
腰に添えていた手が、セーラー服の下に潜り素肌を撫でる。
うるせぇ、と呟いた唇は、首筋からなぞる様におり、再びかぷりと肩を食む。
あむあむと噛み痕をつける訳でもなく甘噛みする彼に、可愛いやら好きやら絆されている私の感情は忙しい。シャツを握っていた手で、背を撫でてみた。
ほんの少し、キャミソールの紐がかかる辺りがぴりっと痛んだ。ぎざぎざの歯を立てられたらしい。
「……食わせろ」
刹那、赤いサテンに指をかけて、金の瞳が私を見上げる。
まっすぐだけど、捉える様な、欲を孕んだギラついた瞳。
逃げられない。と思うと同時に背筋が甘く疼いて、早く触れてほしいと強請ってさえしまいそう。
「…いーよ。」
にんまり笑う私に口角を上げて笑んだ雅人くんは、再び深い口づけを落とす。
嫌だなんて、言う訳がない。だって私、貴方を見た時からずっと
食べられたいって、思ったんだもん。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 484人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
み(プロフ) - Lunaさん» こちらにもｺﾒﾝﾄ頂きありがとうございます😍楽しんで頂けた様で嬉しいです😊💕 (2022年6月27日 14時) (
レス) id: aaa9f51a75 (このIDを非表示/違反報告)
Luna(プロフ) - 素敵な作品ありがとうございます🥺💛もう、めっちゃ胸きゅんしました😳💕 (2022年6月27日 9時) (レス) @page21 id: acb6885805 (このIDを非表示/違反報告)
み(プロフ) - 弥生さん» ｺﾒありがとうございます！お楽しみ頂けた様でとても嬉しいです😍こちらこそご覧くださりありがとうございます💕 (2022年3月23日 16時) (レス) id: 30c85ed1cf (このIDを非表示/違反報告)
弥生(プロフ) - 最高です！ 素敵な作品をありがとうございます！ (2022年3月22日 13時) (レス) @page21 id: 342ddd2777 (このIDを非表示/違反報告)
Umi(プロフ) - 百舌鳥さん» わ〜！こちらこそご覧頂きありがとうございます！！彼のSEは確かに翻弄されちゃいそうですよね😌手のひらで転がされちゃうのもアリです😉💓 (2021年11月24日 17時) (レス) id: 266bb1a809 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：み
| 作成日時：2021年10月1日 9時
