97話 ページ2
「A！！」
出久の叫ぶ声が会場に響き渡る。
Aはポンポンをフサフサにしながら振り返った。
「だ、大事な話があるんだ…！ この後控え室に来てくれない……かな？」
Aは二つ返事で「いいよ」と答えた。
「ありがとう！！ でもその前に尾白くんと話があって……」
『待ってたらいいんだろ？ さっさと行ってさっさと終わらせよう』
これも着替えないとだし、と言って歩き出す。
出久は慌てて尾白と控え室に向かった。
＊
『あれ。まさかまだ終わってない？』
着替え終わったAがドアを少し開けて中の様子を伺う。手首についているポンポンは、しわクチャになっていた。
「いや、もう終わったよ」
尾白が椅子から立ち上がりながら言った。
「まァ、俺から出る情報はこんなもん」
「ありがとう！ ものすごいよ！」
出久は腕をブンブン振りながら尾白に伝えた。
「すごい勝手なこと言うけどさ、俺の分も頑張ってくれな」
尾白は出久に拳を向けた。
その後壁に寄りかかっていたAに「Aも頑張れよ」と言ってから部屋を出て行った。
『……答えなくて良かったのか？』
「……Aこそ」
『私は心操と戦わねェし』
Aは椅子に座るとすぐに「で？」と話の内容を急かす。
「ずっと言おうと思ってたんだ……“ありがとう”って」
Aは目を見張った。少し遅れて「は？」と言う。
「Aはいつも僕に『ヒーローになれる』って言ってくれた。なんにもできなくても、無個性でも。あっ、今は違うけど……僕を支えてくれて、希望をくれて」
──────ずっと、Aは僕のヒーローだった。
「でも僕はAに挑戦する！ 僕もAに勝つ！！」
突き出された拳には力が入っていて、出久の強い思いが伝わってくる。出久は真っ直ぐな目でAを見つめていたが、Aは視線を逸らした。
『そっか。初戦頑張って』
「え、あっ、うん」
出久の返事を確認すると、荷物を持って立ち上がった。そのままドアに向かう。
終始顔が髪で隠れていて表情はわからなかった。
「Aも頑張って！！」
立ち上がって叫んだ出久に、Aは振り向かず「うん」と答える。そして、何も言わないまま部屋を後にした。
ボロボロになったポンポンを振り回して廊下を歩く。
『……撤回しようかな〜』
ポツリと呟く。
無表情でポンポンをゴミ箱に投げ捨てた。
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シグマを襲いたい/// - しょしょ！！ショウガクセイ？！わわわわわわたしもデス………いいなあ！ぜひ文才わけ((( (2020年9月24日 22時) (
レス) id: d344c61285 (このIDを非表示/違反報告)
月見猫(プロフ) - 「約束から。」は「約束したから。」ではないでしょうか？ (2020年9月12日 23時) (レス) id: d7b6c8461a (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱぁん(プロフ) - いつも楽しみにしてます！ちょっと気になったので話させていただきたいのですが、死体は鬼が食べてしまうのでいないのは普通かも……？と思います！失礼しました！これからも楽しみにしてます！ (2020年8月25日 20時) (レス) id: 433180b790 (このIDを非表示/違反報告)
モダエミン(プロフ) - 続編おめでとうございまっす！続編楽しみにしていたので嬉しいですぃ！これからの物語がどうなるのかとても楽しみですぅ！更新頑張ってください！応援していますぅ！ (2020年8月19日 18時) (レス) id: 971db014c2 (このIDを非表示/違反報告)
月見猫(プロフ) - 続編おめでとうございます！これからも頑張ってください！ (2020年8月19日 18時) (レス) id: d7b6c8461a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：二見 | 作成日時：2020年8月19日 17時
