36話 ページ37
ただ、純粋な怒りだけが蔓延っていた。
世の中の不条理を端から端まで具現化したようなこの状況に。もっと早く戻って来れなかった自分に。
……そして何よりも、目の前の敵に対しての怒りだけが。
『何してんだ、そいつ離せやコラあ！！』
地面にイレイザーを押し付けている敵。肘は粉々なのか、もう原形を留めていない。近くで見れば見る程怒りが湧いてくる。敵を蹴った。でも、状況は変わらなかった。
無策で突っ込んだ。怒りのままに蹴り掛かった。それが悪かったのか。それとも単純に、力が弱かったのか。
いや、どれも違う！ この敵に"力が吸収された"んだ！
『……ッソが！』
一旦引いた。こりゃイレイザーがやられる訳だ。
こいつは恐らく力を吸収している。そして吸収って事は限度が絶対にある。でも、この状況下で此奴が限界を超えるまで攻撃をし続けられる事が出来んのか？ ……無理だ。
「どうした？ お終いか？」
『うるせえなァ！！』
この場合の最善。それは、こんな異次元の奴と戦うことじゃねェ。イレイザーを救けることだ。
敵とイレイザーの後ろに周り込み、敵の周りの空気を引き寄せる。力を吸収するなら、直接加えなきゃ吸収されないはず。予想通り、敵は引っ張られ始めた。
イレイザーから手が離れたのを見た水色の髪の敵がイレイザーに近付こうとするが、その前に周りを竜巻で囲む。敵がある程度離れた所でイレイザーの元に急いだ。
「A……逃げ、ろ」
『……喋んなよ、舌噛む！』
イレイザーを抱えて竜巻を動かす。そのまま尾白が乗っている雲まで移動し、大きさを調整してイレイザーを寝かせた。もう一度下に降りようとすると、腕が引っ張られた。
「逃げろ！ 行くな……」
相当弱っているはずなのに力強い言葉。生徒の私が、自分から敵に向かって行くことが間違ってないなんて誰も言わないだろう。でも、これ以上任せる訳にはいかなかった。
『……やられといてそんな大口叩けんのか？ 安心しろ。まだ、誰も負けてねェから』
尾白に「イレイザーを頼む」と伝え、雲から降りる。その後で雲をギリギリまで上昇させ、周りに竜巻を発生させておいた。敵と向き合うと、目の前の奴は気味悪く笑う。
「まだ誰も負けてない？ なら、今から全員負けるな」
『は？ 負けても私だけだろ』
私の言葉にイラついたらしい水色髪が、さっきまでイレイザーを地面に押し付けていた奴に「脳無！」と声をかけると、返事もせず脳無と言う奴は私の方に向かって来た。
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ライアミ - 緑谷のお父さんが火を吹いてお母さんが物を引き寄せるだと思います。設定の所です (2021年7月12日 7時) (
レス) id: e501354a5d (このIDを非表示/違反報告)
Kirari(プロフ) - ヒロアカ、あまりよく知らなかったんですけど、すごくおもしろいー！っておもって、はまっちゃいました！これからもがんばってください！ (2020年11月22日 13時) (レス) id: 659499b88d (このIDを非表示/違反報告)
ひすい(プロフ) - 読み終わりました！ご参加頂き誠に有難う御座いました (2020年8月26日 14時) (レス) id: 13e26514b2 (このIDを非表示/違反報告)
善(プロフ) - さねみとは出合せないのですか？ (2020年7月28日 21時) (レス) id: e2382ac4cf (このIDを非表示/違反報告)
青い蝶(プロフ) - こんにちは、すみません急に最後の会話なのですがそれは蛙水じゃなくて相澤先生のことを書きたかったのではないでしょうか？紛らわしいと思ってしまい、コメントさせていただきました。 (2020年7月26日 15時) (レス) id: 5063cf0137 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：二見 | 作成日時：2020年7月11日 16時
