23話 ページ24
「ッ…！」
首付近の痛みで目が覚める。天井の色は、今の俺の頭の中を具現化したように真っ白だった。首の痛みに耐えながら横を向くと、そこには薄い緑色のカーテン。
そのカーテンがシャーと開くと、リカバリーガールが俺の顔を覗いた。
そこで漸く状況が飲み込めた。俺は今、保健室に居る。
「起きたかい。あの子、随分強くやったみたいさね」
「……あの子？」
「緑谷Aだよ、アンタに手刀を落とした子。あまり首を動かさない方がいいさね。酷く寝違えてるから」
手刀で首を寝違えさせる威力ってどんなだ。
首を押さえながら起き上がり、ベッドから下りる。雄英に登校してきた初日、俺がビビった女。
ビビったのは机を破壊したという事実があったからだと思っていたが、今日対戦して気付いてしまった。
「俺は……あの女の行動全てにビビってた」
無表情で机を破壊する行動にも、口元を緩ませて見せた冷酷な笑みにも。あの女の行動全部に怯んだんだ。
だが、本気を出せば勝てると思っていた。ただ、あの時の俺は戸惑っていた。あの女が、個性を二つ持っていると気づいたから。
だから、本気でやれば勝てる。そう、あの女のあれが本気だとしたらだ。でも、あれは本気じゃなかった。
「俺が、怯まなかったからな」
『何にだよ』
声がした方を振り向くと、俺の後ろに「独り言とかうぜェな〜」と言いながら舌を出す緑谷Aがいた。
全然気付かなかった……まさか、気配を消していたのか？
なら、此奴はやっぱり俺を舐めているんだ。あれはまだ本気じゃなかった。何でだ……手加減とかいらねぇんだよ。
「お前、何で本気で来なかった？」
『あ？』
「手加減して俺に勝とうと思ってたんだろ」
イラつきながら言ったのに、Aは笑った。
『お前も同じだろ？
氷漬けにしてりゃ全部溶かすのに時間かかってた。そしたら、障子が気付いて中に入って来てたかもしれねェ。
テメェは「一人で出来る」とか思ってたんかもしれねェけど、そう言う自意識過剰は相手の実力知ってからやれ』
正論だった。しかも、その手加減をされて負けたのは俺らの方だったから。何も言い返せずに立ち尽くしていると、Aは俺の横を通り過ぎる時に一言ボソッと零した。
『あの時私は、お前を殺せてたんだぞ』
背筋が凍りつくような感覚。喉がヒュッと音を鳴らした気さえした。
今俺は、あの時と同じようにこいつにビビっている。いや、今回はそれ以上の。明確な殺意を向けられた何かだった。
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ライアミ - 緑谷のお父さんが火を吹いてお母さんが物を引き寄せるだと思います。設定の所です (2021年7月12日 7時) (
レス) id: e501354a5d (このIDを非表示/違反報告)
Kirari(プロフ) - ヒロアカ、あまりよく知らなかったんですけど、すごくおもしろいー！っておもって、はまっちゃいました！これからもがんばってください！ (2020年11月22日 13時) (レス) id: 659499b88d (このIDを非表示/違反報告)
ひすい(プロフ) - 読み終わりました！ご参加頂き誠に有難う御座いました (2020年8月26日 14時) (レス) id: 13e26514b2 (このIDを非表示/違反報告)
善(プロフ) - さねみとは出合せないのですか？ (2020年7月28日 21時) (レス) id: e2382ac4cf (このIDを非表示/違反報告)
青い蝶(プロフ) - こんにちは、すみません急に最後の会話なのですがそれは蛙水じゃなくて相澤先生のことを書きたかったのではないでしょうか？紛らわしいと思ってしまい、コメントさせていただきました。 (2020年7月26日 15時) (レス) id: 5063cf0137 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：二見 | 作成日時：2020年7月11日 16時
