1話 ページ1
────皆、個性の話をするんだ。
「ヒーローになりたい」って。
私だってなりてェよ？ 悪い奴を倒せるから。個性だって、もうとっくに出てるんだ。
「個性出た？」
ほら、此奴だって。
「うん！」
「凄いじゃん！」
凄くねェよ、今は当たり前だろ？
個性が出た人は喜ぶ。出てない人は悲しむ。出た人は出てない人を侮辱する。そういう世界だろ？
「Aちゃんは出た？」
『出てなーい』
出たって言ったら使わせんだろ？それで「私の方が凄い」って言うんだろ？ そんなの下らねェ。私には必要ない。
「A、見つけた！ 個性出た？」
『出てねェよ』
お兄ちゃん、今朝も一緒にいたんだよ？ そんなに逐一聞かないで。
私は出てるんだから。自分の事に集中して。
「僕もまだなんだ……早く出ないかなあ？」
お兄ちゃん、辞めて。切なくなるから。
私だけ出て御免ね。嘘吐いて御免ね。共感してあげられなくて御免ね。ごめんね……
「お前は出ない！ 無個性なんだからな！」
クソ勝己……
『まだ分かんねェだろうが』
そうやって決めつけるの辞めろよ。
私だって出たんだから、お兄ちゃんだって……
＊
「諦めた方が良いね」
は？ 阿呆抜かすな。
「そんな……やっぱりどこか悪いんですか？ 幼稚園の子達はもうほぼ発現してるのに……この子達だけ……」
「失礼。奥さんは第四世代ですね？ 個性の方は？」
ええもちろん、と答えて遠慮気味に続ける。
「私はちょっとした物を引き付けるくらいで……夫は火ぃ吹きます……」
「本来ならそのどちらか、あるいは複合的個性が発現するんだけどね？ 昔、超常黎明期に一つの研究結果が発表されてねー」
医者は「足の小指に関節があるかないかって流行ったんだ」と言いながら、お兄ちゃんと私のレントゲン写真を出した。
「人間使わんとこは必要ないってなもんでね。無い人の方が型としてまぁ新しいと。このレントゲンを見て分かる通り、出久君には関節が二つある」
医者の「この世代では珍しい何の個性も持ってない型だよ」という言葉が反芻される。
その度に、そんなわけないと否定した。
「……Aはどうなんですか？」
「Aちゃんは有るでしょう。個性が発現するのが遅いだけでしょうね」
『ッこの糞ヤブ医者が！！』
思わず叫んでいた。この場にいる全員の顔が引き攣る。
だってそうだろ？ 私は発現してる。それが分かんねェのはこいつがヤブ医者だからだ。
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ライアミ - 緑谷のお父さんが火を吹いてお母さんが物を引き寄せるだと思います。設定の所です (2021年7月12日 7時) (
レス) id: e501354a5d (このIDを非表示/違反報告)
Kirari(プロフ) - ヒロアカ、あまりよく知らなかったんですけど、すごくおもしろいー！っておもって、はまっちゃいました！これからもがんばってください！ (2020年11月22日 13時) (レス) id: 659499b88d (このIDを非表示/違反報告)
ひすい(プロフ) - 読み終わりました！ご参加頂き誠に有難う御座いました (2020年8月26日 14時) (レス) id: 13e26514b2 (このIDを非表示/違反報告)
善(プロフ) - さねみとは出合せないのですか？ (2020年7月28日 21時) (レス) id: e2382ac4cf (このIDを非表示/違反報告)
青い蝶(プロフ) - こんにちは、すみません急に最後の会話なのですがそれは蛙水じゃなくて相澤先生のことを書きたかったのではないでしょうか？紛らわしいと思ってしまい、コメントさせていただきました。 (2020年7月26日 15時) (レス) id: 5063cf0137 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：二見 | 作成日時：2020年7月11日 16時
