幸せ、探しました。【妖怪ウォッチ】

聖夜前日の失態、未来に繋がる ページ39

イルミネーションがチカチカと光る駅の広場で寒さをこらえながら人の流れとは逆に進む。雪もまばらに降り出してクリスマスイヴにはとっても素敵な夜だと思う。

"クリスマス"だからかもしれないけど周りにカップルが多いと思う。私は用があって駅に来たのだけど正直独りでいたたまれない。

先ほどまで停電してあたりが真っ暗だったけど嘘みたいにみんなハキハキしているみたいで。

ガサリ、かわいいラッピングをされたプレゼントが入った紙袋を胸に抱えて自然とほっぺが緩む。

コマさん、コマじろう君、ふぶき姫、みんなは喜んでくれるかな。


ドンっとぶつかって情けなく尻もちをつく。ボーっとしていたら前から来る人にぶつかってしまった。

「ご、ごめんなさい」

こここここ、怖い男の子だあ...。地黒の男の子は鋭い目つきで見下ろしている。目力だけでころされそうだ。紙袋をギュッと抱きしめる。

目が偶然、というか固まっている私に男の子は手を差し伸べてくれたので顔を上げて掴もうとしただけなのだけど。



「人間じゃ、ない」


無意識、ほんと無意識で出た言葉だった。彼の真っ黒な瞳の中に本当の彼がいるような気がして、言ってしまったのだ。


その失言に気付くまで数秒かかった。






「...お前」

「ああああ本当なんでもないですいや何も言ってないですすみませんありがとうございます失礼しますっ！！！」

脱兎のごとく駆け出して逃げた。

手を差し伸べてくれた優しい人になんてこと言っちゃったんだああ私いいいい！！？


何百mか走り去って一息つく。


ごめんなさい今の人。そりゃ人外ですね貴方発言されたら堪らないよね...。怒るよね...。


「あ、紙袋ぐしゃぐしゃになっちゃった」


「...帰ろう」









同時刻。


「アイツ俺の正体に気づいて...。



... 面白そうだな」


雪の降る街のなかを、不敵に笑う少年がいた。








このあととてつもなく大きな、ワクワクする大事件が起こるだなんて、考えようもなかったのだ。


...イナホちゃんとUSAピョンと一緒にサンタ当番でコスプレをさせられた話はまた別の機会に。









「ケータ君なんで鼻に指突っ込んでんの」

「Aさん！？ハナホジンがそこにいるんだあああハナホジンめー！！」

「....お約束だね。この展開」

結局似た者同士→←幼児と狐

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