27 ページ27
.
「 A、行くぞ 」
荒れる私と皆を制し、
マネオッパは
車に乗せた
嗅ぎ慣れた香りに
強張っていた体がほぐれ、
自然と瞼が落ちていく
「 おいこら起きろ 」
結局は
瞼が落ちてきただけになったのだけど
ふてくされる私を余所に
マネオッパは一呼吸し、
話をはじめた
「 まず、今日のV LIVEは出なくていい 」
「 Aが思うまま過ごしとけ 」
「 でもまあ…なんだ、話は聞くぞ 」
最後の方はそっぽを向き、
頬に指を当てながら
照れくさそうに告げる
不器用な言い方でも
温かい優しがあることを、
私は知っていた
マネオッパと兄さんの性格は
まるで似ているから
『 やだなやめてよ、思い出しちゃうじゃんか…っ 』
言葉を投げかけるたび、
その分の思いが
積もっていった
『 担当医だった先生が言ってたの 』
『 兄さん、車椅子ごと落ちちゃったんだって。階段からどーんって 』
込み上がる思いを振り払って、
無理やりにでも
笑って見せた
それでも体は正直だ
焦りから酸素がうまく回らず
手がしびれる
私は続けた
『 グループから抜けても、兄さんがいるから、って考えてた 』
『 それならもっと早く脱退すれば良かったじゃん？ 』
『 でもね、会うたび言われるの 』
『 大丈夫。あいつらはちゃんとAを思ってるから 』
『 そう言われてたから、私はここまで頑張れたの 』
だから
今はもう、いない
これ以上に
目の前が暗くなるなんて、
考えたくなかった
「兄さんは生きていない」
そう、
認めたくなかった
これが最後の主張でいい
私は皆に、誰かに
自分に言い聞かせるように
叫んだ
.
.
今の私は
こんなにも悲惨な状況なんだよ
って
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 5989人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
メル(プロフ) - すごく深いお話で感動しました。グクもループしてる、？いつか、心から笑えますように。 (2月15日 19時) (
レス) @page41 id: 0286e7ca09 (このIDを非表示/違反報告)
じぇいけぇい - これグクが「これ前と同じ？」って言ってるからもしかしたらグクも1､2回目のループの時の記憶があるんじゃ…？ (9月12日 19時) (レス) @page41 id: 998078cd35 (このIDを非表示/違反報告)
ヤンコチペン - 最後、主人公がメンバーを殺したのかな？と思いましたが、ループをしたということなんですね！多分、？ 素敵な作品をありがとうございました！これからも頑張ってください！ (2023年4月15日 12時) (レス) @page41 id: 257e9ab930 (このIDを非表示/違反報告)
てやんでい - 他のメンバーも記憶がないだけで、間違った選択でずっとループしてるってことがあったら全私が喜ぶ (2022年8月3日 4時) (レス) @page39 id: cc5c945eca (このIDを非表示/違反報告)
そら(プロフ) - これ色んな意味でヤバイです。解説読んでやばっ、そういうこと?!って思いました。お話凄く面白かったです！！ (2022年3月12日 23時) (レス) @page38 id: ba25a8467e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：紗也
x他3人 | 作成日時：2018年9月2日 18時
