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「ッゲッホッ!ヴォエッ゛」
カラカラの喉に痰が絡んで目が覚めた。
鼻が詰まってるせいで呼吸もままならない。
朦朧とする意識の中で、自分の呼吸さえガンガン響いてカチ割れそうになる頭と熱を持って痛む体の節々に生きていることを無理矢理実感させられる。
「こりゃ二日酔いンときの方がマシだわ…」
昨日の夕方から意識が飛んでは痰だとか咳だとかで目が覚めるのを繰り返している。
病院でもらった薬を飲んでから酷くなった気がする。
アイツ絶対ヤブ医者だ。
『ただの風邪』だなんて嘘でしょ、インフルとかでしょこれ。
本当に『ただの風邪』なら、もっと早くパブロン飲んどくんだった。
エホッ、ケホッ、と乾いた咳が出る。
乾ききった喉が痛んだ。
じくじくと熱で痛む身体を無理やり横に向けてサイドテーブルのペットボトルに手を伸ばす。
「水…」
やっとの思いで掴んだそれを、しわしわでガサガサの唇に押し付けて逆さにした。
「ま、じ…?」
ペットボトルの中身がない。
肩を落とす(比喩だよ比喩。肩落とす元気もねえわ)と一緒に、意識も真っ逆さまに落ちていく。
死ぬ
ああ私このまま死ぬんだ風邪で ひとりで
なんかアレみたいだ
高いビルからひゅーんて落ちてるときみたいにGを感じる
悪魔にブッ飛ばされて地面でぐちゃぐちゃになった死体、悪魔に啄まれてピンク色になった死体、潰されて紫と黒が混じった肉塊となった悪魔だったモノ
自分の眼で見てきた死が眼窩から脳味噌を直叩きにしてくる。
綺麗な状態で死ねるんだ
ラッキーじゃん
アキ君泣いてくれっかなあ
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poppy(プロフ) - 最高です… (2021年7月14日 5時) (レス) id: a8fdecac5a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:神原りんね | 作成日時:2020年12月25日 20時