呪術高専の教師になったお話 (ページ9)

今日:2 hit、昨日:6 hit、合計:7,672 hit

6. 呪術ページ9

虎「なぁせんせー、ずっと気になっていたけどAせんせーって術式とかあるの？」

数学の授業が終わった小休憩の時間。

教壇に広げていた授業資料を整理していれば、傍によってきた虎杖くんにそう話しかけられた。

『術式ねぇ。呪霊を目視できても、祓うとかはやった事は無いし』

そもそも、呪術とか何とかそういう事に関しては知識は何も無いので答えられない。

伏「五条先生に聞けば分かるんじゃないすか」

釘「そうよ。今度ごじょ先が来た時に聞いてみましょ」

『でも呪術とかよく分からないけど、そう言うの扱えないと思うよ私。見えるだけのハズレた一般人だよ』

五「大したものかどうかは、本人の努力次第さ」

教室の出入口から、噂をしていた相手の声が聞こえた。

虎「あ！丁度いい所に！」

虎杖くんが彼に人懐っこい笑みを浮かべる。

五条さんはやぁと生徒に軽く挨拶をすれば、私の方に近づいてきた。

『努力次第ですか』

五「そ、努力次第。勿論人それぞれ限界もあるけどね。そもそもは努力でしょ」

『えぇ、そうかもしれませんが』

呪術等については特に探求するつもりもなかったが、別に興味が無い訳では無い。

でも実感が全くわかない話に、やっぱり壁を感じるのだ。

五「オマエあの時、弱いながらも呪霊に対抗してたよ」

『あの時？』

五「初めて会った時ね。呪霊にカバン投げたでしょ。不慣れ故の微力ながらも呪術としての元は出来ていた」

そうだったんだ。
自分では感覚が分からず気づけなかったな。

五「呪力のコントロールが出来てなかったから、カバンと書類の方がフルボッコになっていたわけ。カバンに呪力をぶつけて、微力な残りが呪霊まで伝わっただけね。一瞬怯んだ程度まで」

『…なるほど』

五「まー、この世界に飛び込んじゃった訳だし、そろそろ身を守るくらいは訓練しておこうか」

『え、訓練』

五条さんから聞こえてきた言葉に、何処か緊張が走った。

五「うん。簡単な体術と、基本の呪力のコントロール。あと帳くらいはできるようになろうか」

帳という言葉に首を傾げれば、近くにいた伏黒くんが 1番簡単な結界術ですと教えてくれた。

訓練の日程いつにする〜？なんて五条さんから言われればもう逃げられないんだと察した。

心配はあるが、自分に出来ることはやってみよう。

呪術の世界に入る選択をしたのは結局自分だから。