2. 謎の男 ページ3
薄目を開ければ、目の前に迫ってきていた 黒い生物 は消えていた。
安堵から ほっと一息ついて。
次に、私に投げかけられたであろう声の主を探して、辺りを見回す。
でも どこにも人の姿はない。
おかしいな。と疑問に思っていると。
すぐ目の前に、上から黒い物が ストン と軽やかに降りてきた。
空を飛んでいた鳥が、
地上に降り立ったみたいに ゆったりとした動作で。
でも、それは人だった様。
随分と背の高い人だから、私の視界が 相手の黒い服 で塞がれ 直ぐに人と判別出来なかったのだ。
オマケにさっきの 空を飛んでいたみたいな 人間離れした着地の感覚から、誰だって人だとは思わないでしょ。
どこから現れたのかも定かでは無いし。
声の低さからして 男性だろう。
相手の顔を確認しようと 少し見上げれば、黒い目隠しをしている。目隠しに押されて逆立った髪の毛は、色素が薄く白っぽい。
「君 見える側の人間 か。いやぁ、大変だったね」
男性は、口元を弧に笑みを浮かべて話した。
口元しか表情が読み取れないから、少し不気味だ。
その 不思議な雰囲気に
おずおずと様子を伺って 私は顔を逸らした。
続けて背の高い彼は、腰を折り私の顔を覗き込んで 大丈夫〜? と言葉を投げかけてくれた。
『あ、…助けてくださったのですよね?』
言葉がどもってしまうも、相手に質問を投げかければ、そうだよー と緩い返事が帰ってきた。
その返事を聞けば 相手にお礼を言い、
深く頭を下げた。
「呪霊に襲われて災難だったねぇ。その様子だと、こっちの事はなーんにも知らない感じか」
じゅれい と言うらしい謎の生物 について、話を聞きたいことが山ほどある。
でも さっきまでの緊張感からか 上手く言葉が出てこない。
まだ心臓がバクバクしている。
私はただ、謎の男の様子を伺うばかりだった。
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作者名:あまね | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/easye1/
作成日時:2023年9月19日 21時