続 ページ7
続
『そういえば、君たちにお土産あるよ』
私はまた今夜、地方の方へ呪霊祓いに行くため、今のうちに教室のみんなの机に置いておこうと思っていたお土産を、持っていた紙袋から出す。
家「やった、何買ってきたの?」
『今日はご当地甘味!五条くんのリクエストだね』
私がそう言えば甘いもの好きの五条くんは反応を示した。お土産に興味を持ってくれたみたいだ。
夏「良かったね、悟」
五「ん。どんなやつ」
五条くんは私の傍まで寄れば、お土産をじっと見る。
『水ようかんだよ。色んな種類あるから、好きなのを選んで』
五「んー、…どれも美味そうだな」
五条くんはひとつに選べないようでじっと考え込んだ。彼が悩む間、少し前かがみの姿勢になりだんだん距離が近くなる。
彼のつんつんとした、でも柔らかい髪の毛が
私の頭を触れた。
少し横を向けば、私よりもうんと背の高い彼の顔がすぐそばまで下がって来ている。
『選べないの?みんなで分けて食べてもいいしね』
まだ悩んでいる様子の五条くんに気にせずそう話しかけるも、彼からの返答は無い。
どうしたのかと今度は横目で、また彼を伺えば、
綺麗な青い目が私に向けられていた。
なんだか目線が外せなくて、目が合って。
そのままじっと。
でも、少しして彼ははっとした途端、顔ごと背けられ目をそらされてしまった。
なんだったんだ今の。
我に帰れば、さっきまでの不思議な感覚に疑問を持つも解決はしそうになく、考えるのをやめた。
夏「悟?」
家「へぇー、そう」
五条くんの様子に夏油くんが気にかけて声をかける。
家入ちゃんはニヤニヤと頬を緩め、五条くんの事を肘で突っついた。
『え、なになに。どうしたの』
彼らに聞いても答える気は無いようだ。
どうしたもんかと考え込んでいると、私のケータイから着信音が鳴った。ケータイ開けば、これからの任務先を共にする補佐官からだった。
予定時間をオーバーしてしまったようで、
催促の連絡だろう。
『ごめんねぇ、先生行かなきゃだ。水ようかんは仲良く食べてね』
水ようかんを家入ちゃんに手渡し、3人に別れを告げて
私は教室を出た。
未だ着信音がなるケータイの呼び出しに出て、電話先の相手に答えれば、そのまま任務先へと向かったのだった。
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作者名:あまね | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/easye1/
作成日時:2023年9月9日 21時