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高専の談話室のソファに座る男女。
五条悟の肩に、AAが寄りかかって眠っている。
数十分前。
目の下に隈を作って高専に顔を出したA。
言葉がきつくなりながらも悟なりに気遣って、少し仮眠を取るよう彼女に提案し、今の状況となった。
『じゃあソファで少し寝ようかな』
開放された談話室のソファに座って、こくこくと舟を漕ぐ彼女を見兼ね、彼は彼女の隣に座った。
いつの間にか彼女の寝る姿勢が崩れ、
ガクッと首が下がった時。
途端に受け止めて、自分の肩貸してやった。
そこから動けず、それが今まで続いているのだ。
五「どうしろってんだよこれ」
無防備に眠りこける彼女の寝顔を、横目で伺えばそう呟いた。自分から彼女に気を許したのは事実だが、謎の緊張感に包まれ、鼓動が早くなる模様。
思えば、最近は彼女絡みのことで
ペースを乱されてばかりだ。
ふとした時に、顔が火照って、心臓がうるさくなって仕方がない。そんな、彼にとっての 謎の現象 に頭を悩ませている。
そうとは知りもせず、眠りこけている彼女。
深く眠っているようで、起きる気配は全くない。
何を思ったのか、彼はすぐ隣の彼女に手を伸ばし、
相手の頬を触った。
軽く撫でれば、程よい頬の柔らかさが指先に伝わる。
左目を隠す要因で伸ばしたであろう前髪が邪魔に感じ、相手のその髪を避けて、耳にかける。
人らしい、と言ったらおかしいが。普通の人と何ら変わりない。目のことさえ無ければ、本当に普通の人間に見える彼女。
優しく目元を触れば、彼女が身動ぎをした。
起きてしまうか、
と緊張感が走るが彼女はそのまま眠り続けている。
ふと、彼女の首元が気になった。丈長めの襟元の下には首を締め付けるようにはめられた輪っか状の物がある。
封印の意が示された呪具
これを見ると、嫌でも彼女は
自身の中に呪いを閉じ込めた 生贄だと分からされるだろう
彼ははっとして、襟元を引っ張っていた手を離した。
一瞬ヒヤッとしたようだが、やっぱり起きる様子は無い。
また彼女の寝顔を眺める。
文字通り釘を刺されたかのように、彼女の寝顔に釘付けになり目が離せないよう。
何を思ったのか、彼の顔が彼女の方へとゆっくり近づいてゆく。
その時
「ちょ、夏油押さないでよ!」
「済まない。そんなつもりは」
談話室の入口から傑と硝子が音を立てて転がり込んできて
Aの目が覚めた。
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作者名:あまね | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/easye1/
作成日時:2023年9月9日 21時