蒼の君【高専五条悟】 (ページ19)

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続ページ19

続

彼のベッドの傍に戻って、床に座れば相手の様子を伺う。

体を起こした際に落ちたハンカチをまた濡らして、おでこに当ててあげれば彼はじっと目をつぶった。

五条くんの弱った所など想像が付かないものだったから、彼には悪いが少し変な感覚だ。

この子も風邪をひくんだな、と。

人間なのだから、勿論有り得ることであるが。

夏は呪術師の仕事も増えるわけで、最近は特に忙しかった。

まだ学生の身でも強いからという理由であちこちに任務に出かけるのは身が削れるものだ。

体の調子を崩すまで身を粉にさせるのは如何なものか。

でかい顔して呪術界に居座っているだけの上層部に、意見提示をして改善を求めるべき事態。

学生の内は経験値程度に任務をこなせば上等。

呑まれることの無い程度に。

私たち大人で彼らをカバーしてならないはずなのに。1番近くに居た存在は教師の私たちなのに。

強いからなんて。

少し目を離しすぎてしまったと後悔が募った。

暫く様子を伺っていると、彼は目を開けた。

寝られないの？と問えば彼は小さく頷く。

『やっぱ私が邪魔なんじゃ』

五「人前で寝られねぇかも」

『ほらやっぱり』

五「ンでも、どっか行くとか言うなよ」

意地でもそういう相手に、私も追い出されなければ特に出る理由もなかったのでそのまま居ることにする。

でも、今はしっかり休んで欲しいし、どうにかして寝られるのが1番なんだけど。

少し考えた末、私はこう持ち出した。

『お腹ぽんぽんしてあげようか？』

そう言うと、彼は少し顔をむっとさせた。

その様子が子供みたいで可愛らしく、クスッと笑ってしまえば、彼は余計に顔をムスッとしてしまう。

『じゃあ、頭。撫でてあげる』

反論されないうちに、彼の絹のような綺麗な髪に触れ、優しく頭を撫でてみる。

彼が抵抗しきれないことをいいことに、ゆっくりと撫で続ける。

初めは複雑そうにしながらも、次第に心地よさそうに撫で受けてくれた。

『ずっと忙しかったよね。よく頑張った。偉いよ』

暫く撫で続ければ、彼は規則正しい寝息を立て始める。

彼の寝顔は、どこかあどけなく、でも綺麗で。
思わず魅入ってしまった。