蒼の君【高専五条悟】 (ページ18)

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続ページ18

続

彼から声をかけられ、私が反応を示せば話が続く。

五「俺ガキの頃から色々と。…とにかく、弱ってる所人に知られるのやなんだよ」

さっきの何故厄介なのかと聞いた私の問への答えだろうか。いつもの強い彼はどこにもいなく。

今は確かに弱っている様子。

五「だから傑にも硝子にも言わなかった。授業に出なかった。これでいい？」

説教から逃れようとする子みたいに、弁解の言葉を述べれば彼は布団で顔を隠してしまった。

確かに彼の言う通りだ。

生まれた時から特別で、人よりも敵が多かったのだろうに。

常に周りに警戒をして生きて。いくら強い彼にも、それは精神の削られるものだ。

弱っている時は特に。

『そうだよね。君の気も知らないで押しかけてごめんね』

五「いや。別にいい」

布団の中でモゴモゴと、彼は私に言葉を返してくれた。

『なら、私は出ようかな。お大事にしてね』

人に弱っているところを見られるのが嫌。その彼の言葉を尊重し、私は部屋を出ることにした。

立ち上がって出口へ向かおうとした時、

パシッと、手首を掴まれる感触がする。

当然、掴んだ相手はこの部屋で二人きりの相手五条くん。

横になっていた体制から、上半身を上げて、私の手首をぎゅっと掴んで俯いている。

分かりきったことだが、彼の人間像からして意外な行動に過剰に驚いてしまった。

動きを停止して、じっと彼を伺うも
彼から言葉が発せられることは無い。

どうしたのと小さく聞けば、やっと彼が口を開いた。

五「いて」

簡単ないてという言葉。

なんの意味合いだろうか。

返答できず固まってしまうと、また彼が言葉を発する。

五「ここに居て」

『人が居るの、嫌なんじゃ』

さっきの話から浮かんだ疑問を言えば、彼は困ったような表情をした。

五「オマエには知られちまったし。でも、忙しいんなら別にいい」

そう言って、私の手首を掴む腕が緩んだ。

甘え方と言うのも違うかもしれないがいつも強がっている彼の精一杯の頼り方なのだろうか。

大事な生徒が頼ってくれる時に他に優先されるものなんか。断る理由なんかはない。

その率直なお願いに、今度私は頷いた。

『いいよ。君が起きるまでいるから、ちゃんと休みな』

そう言って傍によれば、
彼は私の手首を離してまた横たわった。