続 ページ12
続
壁を破って現れた呪霊をじっと見据える。感じる呪力量からして、1級相当の呪霊。
依頼書にはなかった規格外の呪いだ。
五条くんや夏油くんには問題は無いだろうが、家入ちゃんが同行する任務にしては問題有の相手。報告書が面倒くさそう、と素直に嫌なことが頭をよぎった。
スピードで押し負かす戦法なのか、
すばしっこく動き回り始める。
相手の攻撃を正面で構え、呪霊が私に触れてきた瞬間。
『 陰翳呪法 時静 』
相手の動きが止まる、 厳密には非常に遅くなる。ブラックホールに飲み込まれていくようにゆっくりと。時間に縛られる。
私の中の呪いが持つこの呪法は 私は完璧には扱いきれない為 一か八かだったけれど、術がきいてよかった。
ただし、相手の呪力量や呪法を出し続ける時間によってこちらの消費する呪力も多くなる。呪力の多くない私には安易に出せる物ではない。
このまま発動し続ければ、私も限界も迎える。
その前に
『家入ちゃん、その呪具貸して』
後ろの彼女にそういえば言われた通りに手渡してくれた。呪具の刃でほぼ動けない呪霊を一方的にかき切れば、
そのまま呪霊は消えていった。
五「うわ、何今の」
一件落着。呪霊が片付いたところで生得領域は解け、元のオンボロ廃屋に戻される。
そして後ろから五条くんと夏油くんが現れた。
夏「今のがA先生の術式ですか?」
『違うよ。借りてる感じ』
家「借りてる?」
私の言葉に2人は首をかしげ、ただ1人、五条くんは反応を見せずじっとしている。
『さっき私が使った術式は、私の中にいる呪いのものなの。だから借りてる感じね』
家「呪い? でも、あの強そうな呪霊祓える4級のセンセーって何者?なんで4級なの」
『気になる?五条くんもこの前それ聞いてきたね』
私がそういえば、2人とも五条くんに目を向けた。
『私が4級である理由は、私の中にいる呪いの力で成り立っているものだから。そのまんまの私ではどうしようもなく弱い』
五「だとしても、な。単純に上の連中にいじめられてんだろ。犬にされてるようなもん」
『あっはは、面白い例えするね。そう。わんちゃん』
五条くんの言葉に思い切り笑えば、彼は少しぎょっとするも顔を背けた。
夏「いじめられてると言うのは…」
『ごめんごめん、冗談だよ』
本気で心配してくれたのか、不服そうにする夏油くんを宥めると、また五条くんが口を開いた。
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作者名:あまね | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/easye1/
作成日時:2023年9月9日 21時